唐代の伝奇小説『柳毅伝』は、科挙試験に落第した書生・柳毅が困っている龍女を助けたため、最終的に龍女と結婚して億万長者になる物語であるが、この物語は実際、龍と羊の関係をよく示している。 (略)
龍女が飼っている羊は実際羊ではなく、「雷獣の仲間」、つまり雷神なのである。羊は雷神である以上、天上の存在と見てよいわけだが、実は、中国北方の龍神文化の支配者・黄帝も雷神である。黄帝が龍そのものであるから、黄帝と同じ雷神の資格を持つ羊は当然龍と本質的な接点を持っているのである。
(略)
羊は、中国北方の漢民族の一番の好物であると同時に、天上の雷神への最高の犠牲でもある。したがって、羊はしだいに雷神の仲間であるという文化的コードを持つようになったのであった。
「柳毅伝」の羊の謎は、以前お話はしたものの、いまひとつすっきりしないので少し調べてみたのですが・・・なんだかあらためて謎が深まってしまいました。
龍は無数の構成要素を抱えた幻想動物ですが、その中に羊も含まれるようです。こちらの「龍の文明史」には、「古代の龍に関する文献には、その角が羊の角に似ている龍がよく見られる」との記述もありました。今、龍の角といえば鹿ですが、・・・やっぱり巻き角だと威厳とか威圧感とかに欠けるのかもしれません。