ティンパヌムのひつじたち

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クロアチア、ザダール

フランス、ブルゴーニュ地方
聖堂入口の上の半円形の石いわゆるティンパヌムの枠内一杯に、十字架を片足で支え持つ形の「神の子羊」が表されている。

ティンパヌムとは、ロマネスク様式の聖堂などにある、玄関や窓上方の装飾された壁面です。たいがいは聖書からとられたテーマが浮彫にされているようですが、シンプルに羊だけ、というのもなかなかです。

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ミレー 「羊飼いの少女」エッチング

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エッチング「羊飼いの少女」

ミレーの「羊飼いの少女」は、オルセー美術館のものをご紹介済みですが、こちらのほうはエッチング。やっぱり編みものに夢中です。個人蔵。

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ヒツジの群れを追う南米のガウチョ

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ヒツジの群れを追う南米のガウチョ
ヒツジは、野生の祖先種の生息域だった北回帰線と北緯40度の間が飼育の適地で、南半球でもこの幅の地域に多く飼養されている。そして、毛用のヒツジは、地価が安くて粗放な農業経営の行われている地方に多い。南米のパタゴニアの草地はこの条件に合致していて、ウマに乗ったガウチョ(牧童)によって放牧・管理されている。

 「週刊朝日百科121 動物たちの地球 家畜化の始まり」 

昨日、「エトはメリーゴーランド」をご紹介してから、「西部のヒツジ」というフレーズが頭から離れません。とりあえず、パタゴニアの羊飼いガウチョの写真を。西部じゃないけど、西部劇な感じです。

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シンボルとしての「白羊宮」

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黄道十二宮は、宇宙における万物の関係、周期的・季節的変容、の象徴である。 (略)
●白羊宮(Aries)●
(機能は運動・創造)四大元素の火。図像は羊。この宮は、創造の熱、太陽エネルギーの更新、また、<第一原因>、未分化、夜明け、をあらわす。この宮は人間の頭に影響を与え、対応する花はセージとキンギョモ、石は勇気・忍耐・長寿・富を象徴する血玉髄と、純潔・剛毅・無敵・強さ・大胆不敵を象徴するダイヤモンド。

黄道十二宮のおひつじ座が象徴するものを、辞典でひいてみました。
ガンマのお話をしたときに触れましたが、予言的性格を思わせるものがいろいろ並んでます。十二宮の第一番目ですし。
同書で、ギリシャ神話における「牡羊」をひきますと、

牡羊は牡羊の神としてのゼウス/サバジオスの聖獣で、豊穣と生産力の象徴。産み出す者としての神ディオニュソスへの捧げ物。メンデスの牡羊は、牧神パンへの捧げ物である。キプロスでは、牡羊は女神アプロディテと結びつけられる。

とのこと。ポセイドンとの関連や、金毛の羊の活躍譚もありますし、ギリシャ神話のひつじは、基本的に気合いの入ったイメージで語られるべきもののようです。
なお、人間の頭云々というのは、これのことですね。
キンギョモというのは・・・これですか?

「oNLINE植物アルバム」 内 キンギョモ

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ジャン=フェルディナン・シェノー 「川のそばの羊飼い」

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シェノー「川のそばの羊飼い」

「ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち」展図録 

以前「夕暮れ」をご紹介した、「羊のラファエロ」ことシェノーを、もうひとつ。運ばれていく子羊を追いかける母羊がたまりません。

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ジュリアン・デュプレ 「羊飼いの女と羊の群れ」

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デュプレ「羊飼いの女と羊の群れ」

バルビゾン派の画家のひとり、ジュリアン・デュプレの「羊飼いの女と羊の群れ」です。明るい風景や美しい羊飼いによってあらわされる、牧歌的世界の礼賛を特徴とします。個人蔵。

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西條八十 「羊」

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「羊」        西條八十
羊 羊 
まっしろな羊
やさしい 羊
あったかい 春の日に
青い草を たべながら
そろって通る 羊
名を呼びゃ 
ふりかえる
おかあさんの 瞳(めめ)に
ちょいと似た 羊の瞳(め)

今年最後のひつじニュースは、西條八十の童謡です。
ほっこりした気分で、新たな年を迎えることができますように。

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カラヴァッジオ「洗礼者ヨハネ」

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「洗礼者ヨハネ」  「洗礼者ヨハネ」(部分)

カラヴァッジオは洗礼者ヨハネを多く描いていますが、その中からひつじが目立っているものをひとつ。ローマのカピトリーニ美術館所蔵です。

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山海経のカン

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カン
獣がいる、その状は羊のようで口がなく、殺すことができぬ。

土螻ホウキョウ葱聾シンヨウハクイと続いた、山海経のひつじっぽいなにかシリーズです。もうそろそろ残り少ないですが。
しかし、口がなくて殺さないって一体。食うのが前提?

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ラ・トゥール「砂漠の洗礼者聖ヨハネ」

ひつじ話

「砂漠の洗礼者聖ヨハネ」
その横長の形状と、同じように前にかがんだ姿勢、膝の下で切れた両脚によって、カラヴァッジオの『洗礼者聖ヨハネ』(ローマ、国立古代美術館)を思い出させる。しかし、ラ・トゥールの絵画ははるかに簡潔であり、光源もなく一筋の赤色も効果を高めることのない渋い色彩で描かれたものとしては、彼自筆の初めての夜の情景である。
このまったく新鮮な絵画のなかで、唯一それまでの作品を想起される要素は、羊の頭である。これはルーヴル美術館の『羊飼いの礼拝』の羊を左右反転させたもので、「神の子羊」のイメージであり予表でもある(『ヨハネによる福音書』一章36)。

「羊飼いの礼拝」に続いて、ラ・トゥールの「砂漠の洗礼者聖ヨハネ」です。
比較されているカラヴァッジオの「洗礼者聖ヨハネ」というのは、たぶんこれのことじゃないかと。

カラヴァッジオ「洗礼者聖ヨハネ」

あと、「ヨハネによる福音書」1?36前後を下に。

その翌日、ヨハネはまたふたりの弟子たちと一緒に立っていたが、イエスが歩いておられるのに目をとめて言った、「見よ、神の子羊」。そのふたりの弟子は、ヨハネがそう言うのを聞いて、イエスについて行った。

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ラ・トゥール 「羊飼いの礼拝」

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「羊飼いの礼拝」  「羊飼いの礼拝」(部分)
この絵画はロレーヌ地方のある宗教組織にあったもので、1924年にナンシーの美術市場に現れたときには、作者はヘリット・ファン・ホントホルストとされていたが、1926年にヘルマン・フォッスによってラ・トゥールの作品とされた。同年にルーヴル美術館の所蔵となったが、これはルーヴルの最初のラ・トゥールの作品となった。
キリストの降誕を夜の世界に描くことは、コレッジオがドレスデンにある有名な『夜』(1530年頃)で行っているが、その後も特に例を挙げれば、ルカ・カンビアーゾは『羊飼いの礼拝』(1550年頃、ミラノ、ブレラ美術館)を描き、バッサーノ一族やカラヴァッジオ派も取り組み、なかでもホントホルストは『羊飼いの礼拝』(ケルン、ヴァルラフ・リヒャルツ美術館;フィレンツェ、ウフィツィ美術館、1993年に破壊)や、『キリストの降誕』(フィレンツェ、ウフィツィ美術館)を描いている。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「羊飼いの礼拝」です。ルーヴル美術館所蔵。

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ウルの牡羊像

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ウルの王墓で発見された牡羊
ウルの王墓で発見された金とラピス・ラズリの牡羊。(前2500年頃)
金とラピス・ラズリでつくられた牡羊が、金箔をほどこした草を食んでいる。羊毛の質感は、金の薄片を重ねることによって表現された。

イギリスのレナード・ウーリーによって、シュメルの都市国家、ウルの遺跡から掘り出された羊の像です。ウルのスタンダードと同じく、大英博物館所蔵。

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バビロニアの羊の肝臓の模型

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肝臓の模型(前19世紀)
バビロニアにおける知の獲得法、(略)それは範例主義とも呼ぶべきもので、後のギリシア数学のように原理や法則を抽出せず、なぜそのように解くのかも説明しない。 (略)
当時の考えによると、神々は未来を知っており(なぜなら未来は神々が決めるのだから)、わざと注意を引くような現象や出来事を起こして、人間にそれを暗示することがある。 (略) そして項目別に細かく分類され、それぞれに未来の「お告げ」が添えられて、ときには2万行にも及ぶ膨大な「前兆」のカタログをなしたのである。 (略)
一定の相関関係を用いて、同じ現象から同じ未来を導きだす「演繹的」なやり方を見ていると、(略)これらの文書の編纂者たちが何か三段論法の前段階のようなものを発見していたのではないかという気がしてくる。
いわゆる「演繹的」な占いでは、羊を生贄にして肝臓の形状を調べ、その特徴や異常を明らかにするというやり方がよく用いられた(肝臓は諸器官の中でもとくに形が多様である)。肝臓には神託の形で依頼者の運勢が現れていると考えられていたのである。動物の肝臓の模型(マリ王宮で発見)は、占いの仕事を助けるために作られたもので、それぞれにその特徴と予言が書き込まれている。

シュメル文明のお話をしたときに少しふれた羊の肝臓占いですが、同じものが前19世紀のバビロニアにもあるようです。

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「ゴールデン・フリース」

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ゴールデン・フリース
アーロンは乾いた、うつろな笑い声をあげた。 (略)
「コルキスなんて嘘っぱちだったんだな」
「いいえ、嘘ではありません。神話のアルゴノートたちと同じように、惑星コルキスへ到着すれば、たいへんに価値のある宝物が待っています。わたしたちの金の羊毛(ゴールデン・フリース)―水みずしく、緑ゆたかで、汚れのない世界―は、こうして話しているあいだにも (略)
宇宙旅行都市計画の一環として、47光年かなたのエータ・ケフェイ星系第四惑星のコルキスをめざすバサード・ラムジェット宇宙船〈アルゴ〉。コンピュータ“イアソン”が完璧に制御しているこの船で、一人の女性科学者が死亡した。事故死?自殺?それとも…。自殺だというイアソンの主張に疑いを抱いた前夫が単独で調査を始め、困難の末にあばいた驚愕の真相とは?“感情を持つコンピュータ”をリアルに描いた話題作。

ロバート・J・ソウヤーのSFです。コンピュータの反乱ものにして倒叙ミステリという、なんだかたいへんな一品。羊は出てこないんですが、ギリシャ神話の金毛の羊にまつわる固有名詞が使われています。

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「牧羊犬シェップ、がんばる。」

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「牧羊犬シェップ、がんばる。」
「牧羊犬シェップ、がんばる。」挿絵
クールコフィンの勇者の中でも
忘れちゃいけない、ジャック・ケリーを
荒海渡り、イングランドで
羊と戦い、勝利をおさめた
ジャックと彼の忠犬シェップ
外国羊も、ふたりを前に
恐れおののき、ひれ伏した

アイルランドの羊飼いにしてボーダー・コリーブリーダー、マージョリー・クォートンの小説です。原題「ONE DOG, HIS MAN AND HIS TRIALS」。 「牧羊犬シェップと困ったボス」と改題された文庫版も出ています。アイルランドの田舎町を舞台に、牧羊犬競技会(トライアル)や生活上の試練(トライアル)に立ち向かう、けなげな忠犬シェップと町の人々の日々が描かれます。

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