ネパールの教科書から「うそつきは高くつく」
(小学校2年 旧課程「マヘンドラ・マーラー」(国語))
ある村にカールという名前の少年がいました。彼はいつもヒツジやヤギを連れて放牧に行っていました。カールはヒツジやヤギを森で放し飼いにしていました。ヒツジやヤギが草を食べ始めると、彼の方は木に登って、他人をだますことばかり考えていたということです。
森のはずれには田畑が広がっていました。田畑では村人たちが仕事をしていました。村人たちは時々歌もうたいながら、仕事をしていました。
ある日、カールは村人たちをだます方法を思いつきました。他人をだますことができれば、カールは愉快になるのです。ですから、カールは木に登って思いっきり叫びました――「助けて!助けて!大変だ、トラが来た!トラがヒツジやヤギを全部食べ始めた!」
田畑で仕事をしていた村人たちは、カールの叫び声を聞きました。彼らはカールが本当に災難にあったと思いました。村人たちは走って森までやって来ましたが、しかしそこにはトラはいませんでした。カールは木の上に座って笑いこけていました。ヒツジやヤギは、楽しそうに草を食べているではありませんか。
(略)
ある日のこと、今度は本当にトラが森にやってきました。トラはどんどんヒツジやヤギを食べ始めました。カールは気が動転して、あわてて木に登って思いっきり叫びました――「助けて!助けて!大変だ、トラが来た!トラがヒツジやヤギを全部食べ始めた!」
村人たちはカールの言うことを信じませんでした。彼らは今回も嘘をついているんだと考えました。ですから村人たちは、カールの叫び声を聞いても聞いてないふりをして、田畑の仕事を続けました。カールを助けに森には誰も行きませんでした。
カールはずっと叫び続けていました。彼はとうとう、わぁわぁと泣き始めました。しかし村人たちは、カールが泣いているのも演技なんだろうと考えました。結局カールはひとりぼっちで、かくれていました。彼の目の前で、トラが彼のヒツジやヤギをみんな食べてしまいました。彼は泣きながらじっと見るより他はありませんでした。
いくらなんでもサイズ的に全部は食べられないと思いますが……。
ごく一部の上質な部分だけつまみ食い?
容赦ないですね、トラ。
ヒツジ折り紙
羊の穏和な性格は、家運の「安泰」をもたらし、仲むつまじい夫婦の羊が「家庭円満」を象徴します。また2匹並んだ「羊羊」は「前途洋洋」に通じるため、輝ける未来を暗示しています。
ぬくぬくした毛に吉運をくるんで
自然界にらせんは数多く現れているそうで、羊の角もそのひとつ。
マンクスロフタン(つづき)
過去四千年の間、このマン島にはピクト人(ケルト人)、バイキングの人たちといろいろな民族が移住してきました。羊も同様です。
新石器時代の遺跡から発掘された羊の毛は、今のマンクス・ロフタンより、アイスランドに現在もいるアイルランド・シープによく似ているということですが、千年昔のバイキングの墓から発掘された紡毛のマントの断片は、現在のマンクス・ロフタンの先祖のものに間違いないといわれています。そして、その羊はバイキングの羊、シェトランド・シープと大変似ていること、ちょうど千年ほど前にマン島がバイキングの支配下にあったことなどから、いまのマンクス・ロフタンはバイキングの羊だと考えられています。
ロフタンという言葉も「小さな、愛らしい茶色い奴」というバイキングの言葉です。今でこそ、餌を与えられ成長したオスは体重が四十キロもありますが、それでもサフォークなどと比べると半分の重さです。昔は、島の貧しい丘の上で、限られた餌で飼育されていたため三歳の羊で平均九キロ、最高で十四キロしかありませんでした。十九世紀の初めには、もっとも小さな羊の一つだといわれていたのです。