「黄金伝説」の聖クレメンス

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聖クレメンスは、「みんなでここに井戸を掘って、水が湧きだしてくるようわれらの主イエス・キリストにお願いしましょう。と言いますのは、シナイの荒地で岩を打つように命じられ、そこから滝のような水を噴出させてくださったかたは、きっとわたしたちにもゆたかな水源をあたえて、お恵みにあずからせてくださるにちがいありません」
そう言って、祈りをささげ、それからあたりを見まわすと、一匹の子羊が立っているのが見えた。
子羊は、右の足をあげて、彼にある場所を教えた。それを見た彼は、この子羊は主イエス・キリストで、自分にだけ姿をあらわしてくださったのだとわかった。
彼は、しめされた場所に行って、こう言った。 「父と子と聖霊の御名において申しつけます。ここを掘りなさい」 ところが、子羊の立っているところをだれも掘りあてることができなかった。
そこで彼は、みずから小さなつるはしを取って、子羊の足の下をかるく打った。すると、たちまち大きな泉が湧きだし、見るみるうちに川となった。

13世紀にヤコブス・デ・ウォラギネによって著された聖人伝「黄金伝説」から、聖クレメンスの章を。流刑を受けた土地で、流されて苦役に服していた信者たちのために井戸を掘り当てる場面です。

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東京メトロお客様センター 迷える子羊ポスター

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東京メトロお客様センター 迷える子羊ポスター
ちょっと見にくいですが、
”○○駅までいちばん早く行くには?”
”○○駅はエレベーターがあるのかなあ”
”乗り遅れちゃった どうしよう?”
などと書いてあります。

ひょっとして東京在住の方にはお馴染みなんでしょうか、東京メトロお客様センターの迷える子羊ポスターです。
色々迷いすぎです。
えびさまよりタレコミをいただきました。ありがとうございました。
ところで、この真ん中の羊ですが……コレ?
迷える小羊さん

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トム・ロバーツ 「群れからの逸脱」

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ロバーツ 「群れからの逸脱」
オーストラリア美術の父と呼ばれるトム・ロバーツは、ロンドンのロイヤル・アカデミーの学校で学び、フランスとスペインに写生旅行した。
彼は戸外制作に刺激をうけて、オーストラリア絵画にもその方法を取り入れた。
(略)
オーストラリア印象派は、しばしば奥地にテントを張り、夜明けとともにその光景を描いた。このような画家のキャンプの初めのものは、メルボルン郊外の町、ボックス・ヒル近くに、1880年代に置かれた。他の画家たちもそれに続き、オーストラリア風景画派は大きく育っていく。

入植者の国民意識が成立したばかりの19世紀末オーストラリアで、大陸の自然を描いたトム・ロバーツの「群れからの逸脱」です。羊の暴走とカウボーイ大ピンチの図。

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オージー・ラムちゃん

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「オージー・ビーフ君&オージー・ラムちゃんに名前をつけよう!」コンテスト受賞者発表
ラミーちゃん
受賞名: ラミー
理由: ラムとYummy (おいしい)をくっ付けてラミー

オージー・ビーフの妹分(?)、オージー・ラムちゃんに名前が付けられていたようです。
……食べる気満々なネーミングですが。
こちらの情報は、カーター卿さんからタレコミをいただきました。ありがとうございます!

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シェイクスピア 「お気に召すまま」

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コリン  そりゃあ違うな、タッチストーン。宮廷でのいい礼儀作法ってもんは田舎じゃ滑稽に見えるんだよ、田舎の行儀が宮廷じゃ物笑いになるのとおんなじでね。あんたの話だと、宮廷じゃあいさつがわりに手にキスするっていうんだろう、そんな作法は不潔だよ、宮廷にいる人が羊飼いだとしたら。
タッチストーン  それを証明できるかね。さあ、手っとり早く証明してみな。
コリン  だっておれたちはしょっちゅう羊をいじくってるだろう、ところが羊の皮ってやつは脂でねちねちしてるんでね。
タッチストーン  じゃあ、宮廷人の手は汗をかかないって言うのか? 羊の脂は人間の汗より不潔だって言うのか? だめだ、だめだ、もっとうまく証明してみな。
コリン  それに、おれたちの手は硬えんだ。
タッチストーン  それだけちゃんと唇に感じるじゃないか。それでもだめだ、もっとしっかり証明してみな。
コリン  おれたちの手は羊の傷に塗ってやるタールで汚れている、タールにキスしろって言うのかね? 宮廷の人たちの手には麝香が塗ってあるんだろう。
タッチストーン  まったくだめな男だな! 上等肉にくらべたらおまえは蛆虫の餌にしかならん腐れ肉だ。賢い人から教えてもらってよおく考えてみるんだな、麝香ってやつはタールよりも卑しい生まれなんだぞ、不潔きわまる猫の糞から作るんでな。証明しなおしてみな、羊飼い。

ウィリアム・シェイクスピアの喜劇「お気に召すまま」から、公爵の元を逃げ出して森で暮らし始めた道化のタッチストーンと、老羊飼いコリンの会話です。最初は、「田舎暮らしは慣れたか」程度の世間話をしていたはずなのに、なんでこんな会話に。
シェイクスピアは、「リア王」の一節と、「冬物語」をご紹介しています。

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フィリップ・ド・シャンパーニュ 「アベルの死の哀悼」

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シャンパーニュ 「アベルの死の哀悼」  「アベルの死の哀悼」(部分)

17世紀フランスの有力な画家、フィリップ・ド・シャンパーニュの「アベルの死の哀悼」です。アダムとエバの、息子アベルの死への嘆きの図ですが、その背景にアベルが飼っていたのであろう羊たちが。
嘆きのシーン自体は聖書にはありませんので、カインのアベル殺しのあたりを引用します。

アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。
日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。
アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。主はアベルとその供え物とを顧みられた。
しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。
(略)
彼らが野にいたとき、カインは弟アベルに立ちかかって、これを殺した。
主はカインに言われた。「弟アベルは、どこにいますか」。

 旧約聖書 創世記第四章 

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ミレー 「小さな羊飼い」

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ミレー 「小さな羊飼い」

ジャン=フランソワ・ミレーの「小さな羊飼い」です。ミレーの描く羊飼いの少女たちは不思議なほどに愛らしいのですが、彼女は特にそんな感じですね。オルセー美術館蔵。
女羊飼いたちの絵は、これまでに、「オーヴェルニュの山の牧場」「家路につく羊飼い」「羊飼いの少女と羊の群れ」エッチングの「羊飼いの少女」「羊飼いの少女」「生まれたての子羊」をご紹介しています。

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システィーナ礼拝堂天井画 「ノアの燔祭」

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「ノアの燔祭」

システィーナ礼拝堂ミケランジェロによる大天井画から、「ノアの燔祭」を。
以下、創世記の該当部分です。

ノアは共にいた子らと、妻と、子らの妻たちとを連れて出た。またすべての獣、すべての這うもの、すべての鳥、すべて地の上に動くものは皆、種類にしたがって箱舟を出た。
ノアは主に祭壇を築いて、すべての清い獣と、すべての清い鳥とのうちから取って、燔祭を祭壇の上にささげた。

 旧約聖書 創世記第8章 18―20 

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トロワイヨン 「市の日」

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トロワイヨン 「市の日」

バルビゾン派の一人、コンスタン・トロワイヨンの「市の日」です。山梨県立美術館蔵。
トロワイヨンは、「水を渡る牛」をご紹介しています。

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タピストリー「羊の毛刈り」

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「羊の毛刈り」
アラスやトゥールネ、ブリュッセルなどのタピストリー産業が飛躍的に発展した背景には、フランス北西部からベルギー西部にかけてのフランドル地方一帯で、製糸工業と染色工業とが発達していたことが挙げられる。
(略)
北フランスのアラスの繁栄は長く続いたが、十五世紀中期を過ぎると、タピストリー制作の中心地は、ベルギー西部のトゥールネなどへと移っていった。とりわけトゥールネとブリュッセルの二都市がアラスを凌駕して、有名になった。
ファン・アイクやファン・デル・ウェイデン、ブリューゲルなどのフランドル絵画の巨匠達の活躍に刺激を受けたデザインが特徴的なタピストリーが、これら二都市で活発に制作された。

ヨーロッパで14世紀以降に発展した室内装飾用の織物タピストリー。その中心地のひとつであるトゥールネで、15世紀に制作された「羊の毛刈り」です。ブリュッセル王立歴史博物館蔵。

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