上野公園のひつじ

ひつじ話

東京は上野恩賜公園に行ってまいりました。
目的は、国立西洋美術館常設展示。夏から新しく展示されているいくつかの作品の中に、ジョヴァンニ・セガンティーニの「羊の剪毛」があるのです。
セガンティーニの現物は、昔、大原美術館で「アルプスの真昼」を見たきりでしたし、ここでご紹介しているものも、他には「湖を渡るアヴェマリア」だけです。楽しみです。
19世紀の作品ですから、順路からいくと最後のほうです。それはもう、わくわくと進みますと、
「羊の剪毛」発見。
おお、あれか。では、正面からあらためて。
「羊の剪毛」を正面から。
いや、大きな絵なんですよ、これが。117? x 216.5?だそうですから、ちょっと下がって見たほうが良いくらい。でも、ほっと一息つきたくなるような、明朗にして清浄な世界が描かれています。
西洋美術館の常設展には、ほかにもそこここに羊がいます。フラゴナールの「丘を下る羊の群」などがおすすめ。お近くならばぜひ。
ところで。上野公園には、じつは他にもひつじポイントがあります。
動物園です。あたりまえだろうと言うなかれ。本物の羊じゃなくってですね、園内に建つ旧寛永寺五重塔の蟇股が、十二支の彫刻になっているのですよ。
というわけで、やはりわくわくしつつ動物園に入り、表門からすぐ左手にそびえる五重塔に近づけば、そこは周囲を細い水路が取り囲むことによって接近をはばむ仕組みになっていることが判明。
初冬の日差しをあびる五重塔。 白鳥にはばまれる。えー。
そばに寄って行けないので、未が彫ってあるはずの場所がほとんど見えません。子や寅はこの程度には判別可能なのに、
子。 寅。
未なんてこうですよ。
未?
冬枯れて、手前の葉が落ちてしまえば、あるいは見えるようになるのかもしれませんが。
しかたがないので、白鳥を愛でてから撤退してまいりました。いつか機会があれば再挑戦しようと思います。

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ブーシェ 「牧歌」

ひつじ話

「牧歌」 「牧歌」(部分)

「ブーシェ、フラゴナール展」カタログ

先日の「羊飼い」に続いて、ごく初期のころのフランソワ・ブーシェを。

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「ルネサンス画人伝」より「ジョット」

ひつじ話

このような偉人が生まれたのは1276年、フィレンツェから14マイルはなれたヴェスピニャーノという田舎の村のことで、父親はボンドーネという朴訥な農夫であった。
父親はこの子にジョットという名をつけると、その身分でできる範囲では息子をしかるべく育てあげた。
十歳になったころ、ジョットはまだ子供らしいしぐさのなかに驚くべき才智の閃きを示したので、父親はもとより村の内外の人々はみな彼を可愛がった。
ボンドーネはこの子に羊の番を命じた。
するとジョットは羊の群をある時はある場所へ、他の時は他の場所へ連れて行き、生まれつきデッサンが好きであったから、石や土や砂の上に、なにか目に見える物や空想に浮かんだ物を年中描いていたのである。
ある日チマブーエは用事があってフィレンツェからヴェスピニャーノへ向かったが、途中羊の番をしながら先のとがった石で平たい滑らかな石の上に実物の羊を写生しているジョットに出会った。
ジョットは誰からもなにも教わったわけではなく、ただ自然を師として描いていたのである。

スクロヴェーニ礼拝堂の壁画と、その少年時代を描いた絵本をご紹介しているジョットについて、ジョルジョ・ヴァザーリの評伝から。

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