エッカーマン 「ゲーテとの対話」

ひつじ話

ゲーテは、食事の前に、ルーベンスの一枚の風景画を見せてくれた。
それは夏の夕景色を描いたものであった。
前景の左手には、家路につく農夫の姿が見え、絵の中央には、一群の羊が羊飼いについて村へ向っている。
右手の奥の方には、乾草車があって、まわりでは、農夫たちがせっせと乾草を積んでいる。
その横では、馬車を解かれた馬が草をはんでいる。
(略)
私には、その全体がじつに真に迫っているようにみえ、細部もじつに忠実に描かれていたので、私は、ルーベンスは、この絵をまったく写生したのだろうという意見を述べた。
「そうではない」とゲーテはいった、「これほど完ぺきな光景は、自然の中ではとうてい見られるものではなく、この構図は画家の詩的精神の産物なのだ。
しかし、偉大なルーベンスは、なみなみならぬ記憶力にめぐまれていたので、自然を全部頭の中に入れておき、いつでも自然の細部を思う存分使いこなせたのだ。

ゲーテ最晩年の言動を伝える、エッカーマンの「ゲーテとの対話」から。
以前ご紹介したルーベンスの「野良の帰り」について、ゲーテが若いエッカーマンにその芸術性を語ったことが記されています。
彼らの会話は、じつは実際の絵とは左右が逆になっているのですが、これは手元にある版画を眺めての話だからのようです。現代ならば、画集を眺めるような感覚ですね。
ゲーテに関しては、「西東詩集」をご紹介したことがあります。

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ヒツジ放牧で獣害対策 米原市で実証実験、気配で撃退、雑草も減少

ひつじ春夏秋冬

田の周辺の草を黙々と食べるヒツジ
サルやイノシシ、シカによる農作物への被害を防ごうと、米原市小泉でヒツジの放牧による獣害対策が始まった。10月まで実証実験の予定で、市農林振興課担当者は「ヒツジは雑草も食べてくれるため、一石二鳥。新たな獣害対策の切り札になれば」と期待を込める。
同課によると、ヒツジの放牧は、その気配によって獣を寄せ付けないほか、草を食べて獣が身を潜める場所もなくす効果があるという。
増え続ける獣害を防ごうと、ヒツジを使った獣害対策先進地の東近江市にアドバイスを受けながら事業を計画。8月上旬に県の畜産技術振興センター(日野町)から無償で借り受けた。
杉林に隣接する約700平方メートルの田の外側を囲んだ2重の柵の中に現在、雌4頭が放されている。柵や小屋の材料費は市が負担し、ヒツジの管理は、地元自治会が担う。
8月の暑さでヒツジは一時体調を崩したものの持ち直し、現在は食欲旺盛。田の周りの雑草をほぼ食べ尽くした。市担当者は「除草効果は抜群。イノシシの出る10月ごろに獣害への効果が分かってくるだろう」と話している。

ak様から、羊の活躍を報ずる新聞記事をお知らせいただきました。ありがとうございます。
いままでにご紹介した新聞記事を読み返してみたのですが、島根長野滋賀のダチョウに、京都のレンタカウなど、こうしてみると、全国的な取り組みなのですね。

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メーテルリンク 「ペレアスとメリザンド」

ひつじ話

         三の場 お城のテラス
イニョルド少年
(略)
立ちどまった……右手へ行こうとしてる羊がある……みんな、右手へ行きたがってる……でも、行けないんだ……羊飼いが土くれを投げつけてる……おや、おや、こっちを通っていくぞ……みんな、おとなしく随いていく。
(略)
……みんな、黙ってしまったぞ……羊飼いさん、ね、どうして羊たち、もう啼かなくなったの。
羊飼い
(姿は見えない)家畜小屋に戻る道じゃないからさ……

モーリス・メーテルリンクの戯曲、「ペレアスとメリザンド」から。
第四幕のなかば、お城のテラスで一人遊びをするヒロインの義理の息子が、悲しげな声をあげながら追い立てられる羊たちを見かける場面です。

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