これらの川船には沿岸貿易向きのあらゆる種類の食料品と商品が積み込まれた。
たとえば、綱具、滑車、一輪手押し車、斧、鋤、鍬、シャベルなどの耕作具もあるが、主たるものは羊毛や布製のドレスおよび衣類である。
当時は十二月で、夏の盛り、一年でいちばんすばらしい季節だった。
この国の羊は非常に大きく、馬並の力があるので、ほどんど乗り物曳きに使われる。
川船には四頭の羊がいて、半数が約二時間船を曳き、その間半数は餌を食べて船上で休んでいる。
時間がくると岸に着けて上陸させる。
こうして交代で毎日十五、六時間、つまりほぼ日出から日没まで船を曳かせる。
夜は停泊するので、活動をやめて休息する。「ユートピア旅行記叢書 5」
あけましておめでとうございます。本年も「ひつじnews」をよろしくお願い申し上げます。
新年最初のご紹介は、18世紀フランスのティソ・ド・パトによるユートピア小説、「ジャック・マセの航海と冒険」です。
主人公の船医ジャックは、遭難の末たどりついたうるわしい国で川船を扱う仕事を与えられます。この船を曳くのが、巨大な羊。どうも牛馬はいない世界らしいです。
ユートピア旅行記つながり、と断言していいのかちょっと微妙ですが、トマス・モアの「ユートピア」やヴォルテール「カンディード」とそのフォロー記事、スウィフト「ガリヴァー旅行記」などもご参考にぜひ。