「馬をやって、雌牛と取りかえたよ。」
「ミルクとはありがたいね!」とおかみさんは言いました。
(略)
「うん、だけど、その雌牛を、羊と取りかえっこしただ。」
「そりゃ、たしかに、なおさらいいじゃないか。」と、おかみさんは言いました。
「おまえさんは、いつだって考えぶかいんだからね。羊一ぴきぐらい、青草なら、ありあまるほどあるよ。
これからは、羊のミルクと、羊のチーズと、毛糸のくつしたと、おまけに毛糸のジャケツまでとれるね。
これは、雌牛なんかにできないこったよ。雌牛には毛なんかないからね。
おまえさんは、ほんとに考えぶかい人だよ!」
「だけど、その羊をガチョウと取りかえっこしただ。」
アンデルセンの童話集より。
馬を売りに市に出かけたはずの父さんが持って帰ってきたものは、腐ったりんご一袋と、賭け事好きのイギリス人二人。
イギリス人たちは、もちろん、おかみさんが激怒するほうに大金をかけているのですが……?