19世紀フランスの風景画家、ジュール・エローの「羊小屋の開門」です。ボルティモア美術館蔵。
スペンサー 「妖精の女王」
道連れの麗しい貴婦人は、
雪よりも白い慎ましい驢馬に品よく乗っていたが、
(略)
心の中には何か心配事を秘めているようで、
そばには乳白色の子羊を紐でつないで連れていた。
「羊飼の暦」をご紹介したことのあるエドマンド・スペンサーの「妖精の女王」から、第一巻「赤十字の騎士の神聖の物語」冒頭、ヒロインにあたるユーナ姫の登場シーンです。訳注によれば、この子羊は無垢と真理の象徴として、乙女とともに描かれているようです。
ヘロドトス 「歴史」巻三
巻三 一0六節
またインドでは野生の木が(羊)毛の実を結び、この(羊)毛は外見も質も羊からとった毛に優る。
インド人はこの木(の実)で作った衣類を用いているのである。
巻二に続いて、ヘロドトスの「歴史」巻三から。
なんのことはない、おそらくワタの木のことなのですが、ヘンリー・リー「スキタイの子羊」によれば、この記述が植物羊の伝説が生まれるのに一役買っている可能性があるようです。
なおこの「歴史」巻三には、一一三節に、以前ご紹介した脂肪尾種の記述も含まれています。
写真もあるんですが……ちょっとびっくりしますよ?
羊がすいこまれるというしくみ When Sheepbell Rings
以前紹介したことがある、神戸は六甲山牧場の『シープベルを鳴らそう』ですが、YouTube にその様子が上がっておりました。
夕方、夕食の時間を告げるシープベルを鳴らすと、その音色を聞いて、家路を急いで羊たちがめん羊舎に帰ってきます。
……なんかそれとは違う気もしますが、これはこれでこう。
ひつじグッズよりどり
素材 綿 (100%)
サイズ 約480×480mm
カラー ライトグリーン
コワカワイイ? ひつじ刺繍入りハンカチ。 |
ピンクのヒツジ、ホワイトのヒツジとブラウンのクマの3種類があります。
○size 約18cm×10cm
レディースフリーサイズ
垂れ耳気味です。 |
・基準重量:約118g
・本体:アルミ製 内側:衛生コーディング
・サイズ:直径6.6×15.8cm
ラーケンのアルミボトルにひつじが追加されているようです。なんか混じってますが。 |
・基準重量:約118g
・本体:アルミ製 内側:衛生コーディング
・サイズ:直径6.6×15.8cm
もう一種類。……雪とともに空から降ってくるところでしょうか? ひつじが。 |
ジャン=ヴィクトール・ベルタン 「古典的な風景」
19世紀フランスのジャン=ヴィクトール・ベルタンによる、「古典的な風景」です。中央に小さく羊の群れが……って、拡大しないと全くわかりませんね。ほんとに羊? スコットランド国立美術館蔵。
ヘロドトス 「歴史」巻二
巻二 二節
エジプト人はプサンメティコスが王になるまでは、自分たちが全人類の中で最古の民族であると考えていた。
(略)
プサンメティコスはいろいろ詮索してみたが、人類最古の民族を知る手段を発見できず、とうとう次のような方法を案出した。
生れ立ての赤子を全く手当り次第に二人選び出し、これを一人の羊飼にわたして羊の群と一緒に育てるように言いつけ、その際子供の前では一言も言葉を話してはならぬ、子供はほかに人のいない小屋に二人だけでねかしておき、然るべき時々に山羊を連れていって十分に乳を飲ませ、そのほかの世話もするようにと厳命しておいたのである。
(略)
羊飼は言いつけられたとおりを行って二年たったある日のこと、小屋の戸を開けて中へ入ると、二人の子供は手を延べて彼のところへ駈けより「ベコス」といった。
(略)
王も自分の耳でその言葉を聞くと、「ベコス」という言葉を使うのは何国人であるかを調べさせた。そして詮索の結果、プリュギア人がパンのことをベコスということが判ったのである。
巻二 四二節
ヘラクレスがどうしてもゼウスの姿を見たがり、ゼウスは彼に姿を見られることを欲しなかったが、結局ヘラクレスがそれを望んで止まぬので、ゼウスは一計を案じた。
すなわちゼウスは一頭の牡羊の皮を剥ぎ、切りとった牡羊の首を前へ差し出し、羊の皮で蔽った自分の姿をヘラクレスに示したのだという。
エジプト人がゼウスの神像を、牡羊の頭をつけた姿に作るのはここに由来するのであり、この風習はエジプト人がらアンモン人にも及んでいるのである。
アンモン人は元来エジプトおよびエチオピアからの移民であり、その言語も両国語の中間に当るものを使用している。
彼らがアンモン人と名乗るのもこの故事にちなんだものであろうと私には思われる。
エジプト人はゼウスのことをアムンと称するからである。
従ってテバイ人は牡羊を生贄に供さない。牡羊は右に述べた理由で、彼らにとっては神聖な獣なのである。
ただしかし一年に一日だけ、ゼウスの祭礼の折に一頭の牡羊を屠って皮を剥ぎ、かつてゼウスがしたと同じようにゼウスの神像を皮で蔽い、それからヘラクレスの神像をそのゼウスの神像に近付ける。そうしてからこの神殿の氏子一同は、胸を打って牡羊の死を悼み、その後死骸を神聖な墓地に葬るのである。
ヘロドトスの「歴史」第二巻は、主としてエジプトの事物を説明することに費やされていますが、そこから、羊関係の記述をふたつ。
上は、世界最古の民族の調べ方のお話。訳注を見ると、「ベコス」が山羊の鳴き声である可能性も指摘されていたりしますが。
下は、何度かお話しているアメン神について。
バイオロジカル・ウール・ハーベスティング(BWH)羊毛収穫法
春……といえばヒツジ好きのかたにはお馴染みの毛刈りですが、将来的には無くなってしまうかも? というなんだか大変なお話が。
ちょっと長いし重いのですが是非ともご覧下さい。(NHKさんには内緒です)
WMVだと見れない、というお話がありましたので YouTube にしてみました。お試し下さい。
……ひつじのセーター!!
再放送は12月24日のようです。「長寿企業は日本にあり・造り酒屋のバイオテクノロジー」
◇ Biological Wool Harvesting(BWH)事業
バイオロジカル・ウール・ハーベスティング( Biological Wool Harvesting, BWH )羊毛収穫法はオーストラリアで開発された全く新しい羊毛収穫法です。この方法は上皮細胞成長因子(Epidermal Growth Factor, EGF)の毛胞退縮作用を利用しており、羊にEGFを注射して羊毛の成長を一時的に止めることで、羊毛を無駄なく容易に採ることが可能となります。また従来のバリカンでの採毛法に比べ熟練技術がいらず、労力も軽減され、さらに羊毛の質も向上するという様々な利点があります。
かつてEGFは非常に高価であり実用化の妨げとなっていましたが、当社では Brevibacillus 発現システムを用いてEGFの工業的生産方法を確立し、大量かつ安価に供給することを可能としました。現在、オーストラリアの Biological Wool Harvesting Company Pty Limited 社によって、BIOCLIP 事業として商業的採毛が開始され、次世代の羊毛収穫法として注目されています。
1人で13人前! 大鍋ジンギスカン
札幌市の松尾ジンギスカン札幌店が、一時間の制限時間内に一人で十三人前のたれつきジンギスカン肉(約二・三キロ)を食べ切る「デカ盛りチャレンジ選手権」を開催している。
テレビのバラエティー番組で、直径七十センチある同店名物の「ジャンボ鍋」が紹介されたのがきっかけ。芸能人三人が二十分足らずで、計三十九人前を平らげたのを見て、「地元の人にも大食いにチャレンジしてほしい」と企画した。一時間以内に完食すると無料。食べ残した場合は、通常料金の約半額三千五百円を支払う。
挑戦者第一号は札幌市の専門学校生、中野さん(19)と中村さん(19)。朝、昼食抜きで二十六人前に挑んだ。初めは勢いよく肉をパクついていた二人だったが、三十分すぎからペースダウン。残り十五分には「あごが疲れてもう動かない」と苦悶の表情になり、結局五人前を残してギブアップした。
まいうー?
12月17日の中日新聞朝刊より。松尾ジンギスカンのHPではもう終わったことになっているんですが、まだやっているんでしょうか。
シャルル=エミール・ジャック 「羊のいる風景」
「羊飼いと羊の群」、「羊飼い」、「夕暮れの羊飼いと羊」や「牧場の羊」などをご紹介したことのある、バルビゾン派の動物画家シャルル=エミール・ジャックの「羊のいる風景」です。ボルティモア美術館蔵。
スルバラン 「幼児洗者聖ヨハネのいる聖母子像」
「神の仔羊」をご紹介したことのあるフランシスコ・デ・スルバランの、「幼児洗者聖ヨハネのいる聖母子像」です。
聖ヨハネの足下に子羊が。三角形の端正な構図が特徴です。
幼い聖ヨハネを描いたものとしては、スルバランとほぼ同時代の画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョの「貝殻の子供たち」をご紹介したことがあります。
「ひつじかいのふえ」
わたしが しんだら だれが ふるい いいつたえを かたるだろう。
どうか、 あの かたが もう すぐ おいでに なるように!
ひげの ひつじかいの むねは その おもいで いっぱいでした。
マックス・ボッリガー作、ステパン・ザヴィール絵のクリスマス絵本です。
救い主を待ち続ける老いた羊飼いの、報われる夜がついに来ました。しかし彼の孫息子は、待ちわびた王様が飼い葉桶の中の赤ん坊であることに失望して……?
グリム童話 「子羊と小ざかな」
それで、まま母は魔法をつかうことを心えているものですから、子どもふたりに魔法をかけて、にいさんをお魚に、妹を子羊にしてしまいました。
ちいさなおさかなは、池の中をおよぎまわりましたが、かなしくってしかたがありません。子羊は、草原をのそのそあるきましたが、かなしくって、草なんぞ、たべるどころか、茎にさわりもしませんでした。
こんなふうで、かなりながいことたちましたが、あるとき、このおやしきへ、よそからお客さまがたがみえました。悪人のまま母は、これはうまいつごうだぞと思って、お料理番をよんで、
「おまえ、あの子羊を原っぱからつれてきて、つぶしておくれ、お客さまがたには、ほかに、なんにもごちそうがないのだからね」と、いいつけました。
グリム童話から。魔法使いの継母に子羊に変えられた小さな妹が、お料理番の前で訴えたことは。
モンゴルの双六 「ホロル」
ホロルというゲームの一種。十二支の動物や宝珠、卍、天輪などを表した牌を用いて遊ぶ。双六に似ている。
遊牧民としてのモンゴル人の娯楽には、その厳寒期のために発達した室内ゲームが大きな位置を占めています。
こちらは「ホロル」の牌。木彫りの札です。羊の造形がリアルですね(当たり前?)。
モンゴルの室内ゲームについては、羊のくるぶしの骨のサイコロ「シャガイ」と、その関連情報をご紹介しています。
女真族の料理 「全羊席」
女真族の伝統料理には「全羊席(チュワンヤンシー)」があった。これは文字通り、羊を丸ごとだした席であり、「煮全羊(ヂュチュワンヤン、羊の丸煮)」というメニューで金王朝に有益なお客に限って調理させたようだ。
料理法は、子羊の毛と内臓をとり、頭と尾つきで香辛料を加えて丸ごと煮る。宴席には一卓に一頭を割り振った、といわれる。お客は、各自の小刀とフォークを使って肉を切り取り、用意された塩、醤、酢を好みでつけて食べる。
(略)
また、湯菜(タンツァイ、スープ料理)としての「冷羹(ロンゴン)」もあった。厳寒の季節、トロトロに煮た羊肉のスープは冷めると煮凍(にこごり)となる。この「煮凍」を冷羮として皿に盛ったのだ。これは羊の羮であるから「羊羹」である。
小豆をつぶして寒天で煮固めた日本の「羊羹」の名はこれがルーツ、という説がある。