ルーベンス 「聖母子と諸聖人」

ひつじ話

ルーベンス「聖母子と諸聖人」  「聖母子と諸聖人」(部分)

「パリスの審判」に続いて、ピーテル・パウル・ルーベンスをもう一枚。アントウェルペンのシント・アウグスティヌス聖堂の祭壇画、「聖母子と諸聖人」です。

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「シートン動物誌」のビッグホーン

ひつじ話

北方では、十二月といえば深い雪、強烈な凍結、そしてビッグホーンの交尾期を意味する。
(略)
一方のオスが相手を見て、頭を振り、一瞬うしろ足で立ち上がる。相手は、そのしぐさの意味を理解しており、ただちに自分の体勢をととのえる。二頭は万全のスタートがきれるよう、わずかに後方に身を引く。
そして、たがいに三〇メートルほども離れて走り出し、時速三二キロメートルの速度で、まるで二台の杭打ち機のように激しく角と角でぶつかいりあう。
角と角がぶつかる音は、おだやかな日なら三キロメートルさきでも聞きとることができる。
(略)
ビッグホーンがオスどうしの問題を決着させるのに使うカギは体重と持久力だ。
二頭のオスは何回も何回も向きなおっては突進し、おそらく勝負がつくまでに六回はぶつかりあう。
一四〇キログラムの体重に時速三二キロメートルをかけて十〇を消耗するより、一五五キログラムにおなじ速度をかけて五を消耗するだけのほうが有利であるのは明らかだ。
ビッグホーンのオスどうしの衝突は、自然界の適性検査だといえる。
そのためにビッグホーンは訓練を重ねる。そのために競争が生まれる。そして、そこに巨大な角が発達する契機が生まれる。

アーネスト・トンプソン・シートンによる「Lives of Game Animals(狩猟動物の生活)」の邦訳、「シートン動物誌」から、ビッグホーンの章を。
ビッグホーンについては、羊の祖先たちのお話をしたときに、少しご紹介しています。

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アヴィニョンの聖ベネゼ

ひつじ話

「石を持ち上げる聖ベネゼ」
聖ベネゼは、復活祭の時期に祝日をもつ、通過に関連した聖人である。
(略)
ベネゼは、アヴィニョンの橋を建設した人物である。そして、民間伝承では、渡し守にして橋の建設者という、傑出した人物として名を残している。
(略)
復活祭とはなによりも、キリストが体験した(生から死へ、ついで死から生への)通過を祝う祭りである。聖ベネゼはしたがって、春分の季節に見られる重要な通過神話を、復活祭の時期に明確に伝えているのである。
(略)
『聖ベネゼ伝』によれば、「皆既日食が起きた日のこと、ベネゼという名の少年が牧草地で母の雌ヒツジの番をしていた」。天から声がして、突然、彼にこう命じる。「そこにそなたの母のヒツジを残したままにしておきなさい。なぜなら、そなたは私のために、ローヌ川に橋を作らなくてはならないからだ」。ベネゼがためらっていると、その声は、代わりにヒツジの番をすることと、ベネゼをローヌ川まで案内する仲間を一人、彼にさしむけることを約束する。そしてベネゼは、杖と荷袋を持った巡礼姿の天使と出会う。
(略)
ベネゼがそうだったような、羊飼いという低い身分を、いくつかの伝説的な偉人の伝記に照らし合わせて考察しなくてはならない。
(略)
将来王となる人物は、幼年時代、羊飼いたちによって人里離れたところで育てられる。キュロス大王〔ペルシア帝国アケメネス朝、前559?530年〕、ミトリダテス六世エウパトル〔ポントス王国、ミトリダテス朝、前120?63年〕、ロムルス〔ローマの建国者〕、アルタクセルクセス〔ペルシア帝国アケメネス朝〕の伝説は、このモデルに忠実にしたがっている。ここに名をあげられた人物はみな、田舎や森で幼年時代を過ごすが、それは後に王に選ばれるしるしなのである。

アヴィニョンの橋を架けたことで知られるキリスト教の聖人、聖ベネゼに関する考察から。
引用中の、復活祭の異教性や英雄の社会的身分と使命の落差の話を含め、大変エキサイティングな本なのですが、読者が悪いと、妙に気安い神様のことばかりを気にしていたりするわけです。代わりにヒツジの番を……。

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ルーベンス 「パリスの審判」

ひつじ話

ルーベンス 「パリスの審判」  「パリスの審判」(部分)

ピーテル・パウル・ルーベンスの「パリスの審判」です。トロイア王子にして羊飼いであるパリスと、彼に審判を求める三女神の間に、のんきそうな羊たちが。ロンドンのナショナル・ギャラリー蔵。
ルーベンスはこのパリスの審判というテーマが好きだったらしくて、他にも多くの作例が知られています。

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リトルワールド(続き)

ひつじ話

リトルワールドをご紹介したあと、ヒツジ5,6頭とおもちゃと串焼きで、ひつじパラダイスを標榜するのはどうなんだと身内に言われてしまいました。
そっっ…………そうかも。あ、いや、でも、まだ残してるネタはあるんですよ。というわけで、そちらを。
中国剪紙
先日ご紹介した中国剪紙の現物をミュージアムショップで購入。B5版くらいの十二支セットの一枚です。
ベルベルのテント
「ラクダ広場」に隣接する(というかこっちが主体?)「テント村」の展示物のひとつ、「ベルベルのテント」。羊の模型つき。
クリッペ
クリッペ2
木のおもちゃと同じフロアで見たクリッペです。ドイツのクリスマス飾りですね。
日本でも良いものが買えるようです。

キリストの生誕の場面をあらわした「クリッペ」。
クリッペとは、馬のえさを入れる桶を意味し、キリストのゆりかごにしたことから、そう呼ばれます。
静かで温かい雰囲気を持つクリッペは、クリスマスのムードを高める最もクリスマスらしいおもちゃです。

……お値段も良いかも。日本で言うとお雛様を買うような感覚なんでしょうか?
などなど。
貴重だったり綺麗だったり美味しかったり、ひつじ以外でも良い所です。……ご縁があれば。

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とことこっとトレイン (ひつじでんしゃ)

ひつじ画像・映像

箱根登山鉄道モハ1形“とことこっとトレイン”発売決定!!
とことこっとトレイン
以前からご要望の多かった記念塗装を、可愛らしい羊のキャラクターを含めて完全再現
古くから世界的に有名な日本の観光地である箱根の山に、最急勾配1000分の80の急坂、半径30mの急カーブ、3ヵ所のスイッチバックで挑む日本一有名な登山鉄道が箱根登山鉄道です。
モハ1形は、1991?1993年(平成3?5年)に、1993年の3車輌運転開始に先駆けて2輌固定編成化の改造工事が行われ、現在の姿になっています。
この羊のキャラクターを描いた記念塗装は「とことこっとトレイン」という名称で、箱根湯本?強羅間開業80周年と彫刻の森美術館30周年記念を記念して101-102編成に施されたものです。
「とことこっとトレイン」は1999年(平成11年)4月から約1年間運用され、後に一般から募集した「カモミール号」という愛称が付けられて乗客に親しまれました。

箱根登山鉄道モハ1形
箱根登山鉄道モハ1形は、1950年に新製車体と、旧車両の機器を組み合わせて登場しました。
1999年に、箱根湯本-強羅間開業80周年、彫刻の森美術館30周年を記念して、101,102号車に特別塗色を施し、約1年間運行されたのが「とことこっとトレイン」です。かわいらしい羊のキャラクターが特徴で、後の一般公募により「カモミール号」という愛称が付けられました。

ひつじでんしゃさまより、鉄道模型で STRAY SHEEP塗装のものが出るとの情報をいただきました。ありがとうございました。
「とことこっとトレイン」
……ちょっと言いづらいです。

とことこっとトレイン
 102?101は1999(平成11)年4月、箱根湯本?強羅間開業80周年、及び彫刻の森美術館開館30周年を記念し、フジテレビのスポットCMで人気が出た「STRAY SHEEP」のキャラクター(ポーとメリー)をまとったイベント車となった。
 当初は「とことこっとトレイン111」(111は会社創設111周年の意味)と呼ばれていた。
 後にホテルおかだ協賛により愛称を一般募集し、「カモミール号」という愛称がつけられ、それに伴い車体側面に「カモミール号」のサボが取り付けられた(’99.09.13より)。
 車内には STRAY SHEEP のイラストが飾られ、乗客の目を楽しませていた。
 女子中高生からも好評で「この電車かわいいよねぇ?」という言葉が当初よく聞かれた。
 上記2種類の愛称の他に、「ポー電車」、「ひつじさんの電車」などなど、乗客の方から自然発生した愛称も色々とあった。
「カモミール号」サボ

こちらは実際に走っていた時の写真を紹介されているHPです。
よく見ると雲が窓のところにかかっていて、ガラスが白に塗られていたりして面白いですね。
いまはもう走っていないとのことで、残念です。

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尾形月耕 「月耕漫画」

ひつじ話

「月耕漫画」十二支  「月耕漫画」十二支(部分)

明治期の絵師尾形月耕の描いた、「北斎漫画」の明治版ともいうべき「月耕漫画」から、十二支図を。方位磁石の上を巡る動物たちの、未の方向に羊の後ろ姿が。なんだか楽しそうです。
「北斎漫画」の羊も、ずいぶん以前にご紹介してますね。こちらです。

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フェリシモブランド 「NUSY」

ひつじ話

NUSY リブ付きやわらか本革ブーツ
内側にはピンクのひつじがこっそり。

フェリシモの通販カタログ「haco.」の一ブランド「NUSY(ヌージー)」は、マスコットキャラクターがひつじです。このひつじ、商品の中にワンポイントとしてひそんでいたりするようですが、8月22日に出た秋号では、なんとブーツに。
下は、フェリシモ、haco.、及びNUSYのホームページです。こっそり顔を出すひつじがもう。

フェリシモ
haco.
「カンタン・ベンリ・ガンバリすぎない」をモットーに、おしゃれとハッピーが大好きな女のコと作るブランド NUSY

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リトルワールドのラクダ広場など

ひつじを見にいく

と、いうわけで、愛知県犬山市のリトルワールドに行ってまいりました。
こちらは、123万?の敷地のなかに世界各国の住居が野外展示されており、民族衣装の試着や料理や買い物が楽しめる、「野外民族博物館」なのですが、その一角、シリアのベドウィンやモロッコのベルベルのテントが展示されている横の「ラクダ広場」で、生きた羊が飼われているのです。展示物のうちなんでしょうか、やっぱり。
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テント村から見下ろすの図。
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えさをやってみよう。スティックにんじん、一カップ百円です。
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もうナイ。ごめん。
彼らのほかにも、
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「ドイツ バイエルン州の村」エリアで見かけた木のおもちゃが素敵でした。なにが良いって、
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この製法が。
あと、羊肉の串焼きも食べられます。
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すみません、一緒に食べた刀削麺のほうがめだってます。
最後にもう一枚、ラクダ広場から。
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そんなこんなで、ひつじ好きにはなかなかのパラダイスです、リトルワールド。ご縁があれば、ぜひ。

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ベルトゥーフ 「少年絵本」

ひつじ話

「少年絵本」 スキタイの子羊

一昨日ご紹介した「怪物誌」からもうひとつ。19世紀の児童向け啓蒙書であるベルトゥーフの「少年絵本」に、植物羊がいるようです。ヴァンサンバージョン……ええと、こちらのふたつめの絵のほうですね。ヘンリー・リー「スキタイの子羊」の挿画も同じタイプ。
しかしこれは、むしろ、ヨーロッパに入ってきていたと思われる、中国産のタカワラビの細工物に似ているような感じもします。

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中国剪紙の「三羊」

ひつじ話

剪紙の三羊
中国の剪紙の歴史は、遙かに商の時代(紀元前16世紀?前11世紀)まで遡ります。
司馬遷の『史記』の中には、西周(紀元前1027年?前771年)の話として、「剪桐封弟」(アオギリの葉を切り抜く)という故事が見え、当時は木の葉や皮、絹布や金属片が切り絵の材料として用いられていました。
やがて紙が発明された西漢時代(紀元前202年?8年)以降、切り絵は様々な技術の発展を遂げたのです。
鋏と小刀のみを使って生み出される剪紙は、民間、特に農村などに長く伝承され、室内装飾や衣装図案に愛用されてきました。
中国全土、南北に広く分布しており、土地柄がもたらす特色が豊かです。

中国の民俗芸能「剪紙」の図案集「切り絵の世界―中国剪紙」の「吉祥」の項に、以前「玉瑞獣」としてご紹介した「三羊」がありました。おめでたい図柄のはずなんですが、羊の目がちょっと怖いです。

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レチフ 「南半球の発見」

ひつじ話

「南半球の発見」 羊人間
5人がたどりついたのは羊人間の住む羊島だった。アレクサンドルは草を手にして羊人間に近づくが、ひとりの羊人間の男が突進してくる。アレクサンドルが間一髪飛びあがったので、その男は木に激突して即死してしまう。

18世紀フランスの文学者レチフ・ド・ラ・ブルトンヌの「南半球の発見」は、主人公たちが人工の翼を駆使して、前人未踏の山や南半球の島々を開拓し、理想国を作り上げるお話です。「羊人間の島」は、彼らの冒険譚のひとつなのですが、いきなり突進されてます。バタリングラムといい、白羊宮といい、羊が身近な文化圏では、雄羊と言えば猛獣、ということなんでしょうか。
なお、今回引用したのは荒俣宏編著の「怪物誌」なのですが、「飛行人間またはフランスのダイダロスによる南半球の発見―きわめて哲学的な物語」という訳本が出ているようです。

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アードマンスタジオの羊の作り方

ひつじ話

羊一匹のための工程
1) アルミの針金を同じ長さにねじったもので、足を作る。
2) その先端に、円形に加工した金属プレートをビス止めして取り付け、安定性を高める。
(略)
8) ひづめより上の足の部分は、頻繁に動く箇所なので、針金の足には粘土を巻き付ける。
9) ひづめの部分は動かないので、ひづめより上と同じ色に調整したゴムを巻き付け成形する。
(略)
12) 本物の羊の毛皮の、毛羽立った部分をメスでカットする。
13) 先ほど形を整えたウレタンの胴体に、隙間なく毛皮を貼り込んでいき毛先を整える。
14) 劇中で表情を変えるための差し替え用まぶたを、あらかじめ樹脂で制作しておく。
15) まぶたを目にのせて完成。

なにを今更ではありますが、「ひつじのショーン」はクレイアニメです。クレイアニメを作るというのがどういうことか、目の当たりにできるページが、アードマン・アニメーションズのファンブックにありました。しかも羊で。これでも工程の少ないほうらしいですよ?

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豊平区のキャラクター 「めーたん」

ひつじ話

めーたん
代表的景勝地「羊ケ丘展望台」のかわいらしい羊をモチーフにしたキャラクター。
街の魅力や楽しいことの発見に関しては、フットワークが軽いらしい。
名前の由来   名探偵みたいな服で羊だから

札幌のキャラクターについては、以前から思うところはあったのですが、こんな子もいたのですね。迷わない羊探偵。家は羊ケ丘展望台周辺らしいです。周辺……?

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世界32カ国から羊飼いが結集、移牧の権利訴え マドリード

ひつじ事件

マドリード──スペインの首都マドリードで9日、羊飼いが「移牧」の権利を訴え、数千頭のヒツジたちとともに市内を練り歩いた。第15回目を数える運動で、今年は世界32カ国から、仲間の羊飼いが結集。権利存続のための訴えに協力した。
「移牧」とは、季節ごとに家畜を牧草のある場所などに移動させて飼育する牧畜形式のひとつ。スペインでは古くから行われており、800年前から移牧に使われる道が、国内を通っている。
しかし、古くからある道も都市化が進むにつれて、家畜が通りにくくなっている。特に、首都マドリード市内を南北に走り、プエルタ・デル・ソルがある道は、交通量や観光客が多いことから、家畜が通れる状態ではない。
世界から集まった羊飼いらは、スペイン国内約12万5000キロの道で移牧が出来る権利を訴えると同時に、都市化が進んで世界各地で消えつつある伝統の理解を求めた。

マドリードの羊たち
何千頭もの羊が騒がしい行進を上演したとき、中央のマドリードの街の人々は日曜日に珍しい行列を見ました。
マドリードの羊たち
彼らのひとりに、特に挑戦的なタスクがありました–強情な羊を折り目へ引きずり返すことによって、法と秩序とランクの統一を維持してください。

と、いうわけで毎年恒例のマドリードひつじ祭りです。
昨年の記事はこちら。(リンク先から動画も見られます)
……日本でもやってもらえませんかね。

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