大英博物館展 100のモノが語る世界の歴史

ひつじ話

先日の第67回正倉院展に続いて、展覧会情報を。
以前お話したことのある、メソポタミアの謎の箱「ウルのスタンダード」。
こちらの現物を、神戸市立博物館で開催中の「大英博物館展 100のモノが語る世界の歴史」で見られるようです。

会期 2015年9月20日(日)―2016年1月11日(月・祝)
会場 神戸市立博物館
開館時間 平日、日曜日 午前9:30─午後5:30(入館は午後5:00まで)
       土曜日 午前9:30─午後7:00(入館は午後6:30まで)
休館日 月曜日、10月13日(火)、11月24日(火)、12月29日(火)─2016年1月1日(金・祝)
     (ただし10月12日(月・祝)、11月23日(月・祝)、2016年1月4日(月)、11日(月・祝)は開館)
ウルのスタンダード
メソポタミアの古代都市ウルで、王家の墓から見つかった「箱」。
贅沢な素材が使用され、ウルが経済的に豊かで盛んな交易を行っていたことがわかる。「スタンダード(軍旗)」と通称で呼ばれているが、用途は不明。
片面には祝宴の様子が、もう片面には戦争の様子がモザイクで描かれている。
豊かさが階級社会を生み出し、また豊かさを保つために近隣部族との覇権争いが繰り広げられたことが読み取れる。

ぜひとも。

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第67回正倉院展

ひつじ話

先日、正倉院宝物の毛氈が羊毛であることが証明されたとのニュースをご紹介したのですが、そのフェルトの品が次回の正倉院展にて出陳される模様です。

会期  平成27年10月24日(土)─11月9日(月) 全17日
会場  奈良国立博物館 東新館・西新館
休館日  会期中無休
開館時間  午前9時─午後6時
※金曜日、土曜日、日曜日、祝日(10月24日─25日、10月30日─11月1日、3日、6日─8日)は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで
主な出陳品
花氈(かせん)
花氈は今日のフェルトと同様に獣毛を縮絨(しゅくじゅう)させて作った文様(もんよう)入りの敷物。
本品は大型の1枚で、裏面に「東大寺」印が3顆捺(お)されており、東大寺所用のものと考えられる。
近時の調査で羊毛が使用されていることや製法が明らかになった。

これは楽しみです。
正倉院宝物のお話はときどきしておりますので、こちらで。

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気球と羊の関係。

ひつじ話

ごく初めから気球に興味を抱いたのは、ショーマンと科学者だった。
ショーマンたちは、スリルにとんだ見世物に仕立てて、ひとやま当てようとした。
その一人がジャン・ピエール・ブランシャールという男である。
(略)
ブランシャールはイギリス海峡横断で一躍名をあげたが、その後ヨーロッパの主要都市を回って、たびたび飛行を披露した。
フランス革命が起る前の1785年11月19日には、まさに九死に一生の大冒険飛行をやってしまった。
ベルギーのケンから飛び立ったのだが、安全な上昇に必要な砂袋の重さを計算違いしたため、まるでロケットみたいに急上昇し、あっというまに3万2千フィート、つまり6マイルもの高さに昇ってしまった。
(略)
ブランシャールはこの事故にもめげず、その後も何回となく飛びつづけて、新しい技術で大衆をあっと言わせようと、小型のパラシュートで犬やその他の動物を落下させる、という感心できないアイディアを思いついた。

先日ご紹介した「ほら吹き男爵の冒険」に出てきた気球乗りの男と羊ですが、なにか元になった事実があるのではないかと「気球の歴史」を繰ってみましたら、こんなお話が載せられていました。これでしょうか、やっぱり。いやしかし、なんてことを。
なお、モンゴルフィエ兄弟の気球にも羊はのせられているのですが、こちらは、人が乗っても大丈夫かどうかを確かめるためのまっとうな実験だったらしいです。

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アフガニスタンの放牧風景。

ひつじ話

パシュトゥーンの牧夫たちが放牧に用いる道具は、ごく普通のものである。
まず、二メートルほどの杖。それは、ヒツジをたたいたりついたりするほか、牧夫が深い溝を飛び越えたりするときにも用いられる。
しかし、この杖のなによりも不可欠な用法は、隣近所のテント集落のイヌに襲われたときに、それを撃退することである。
多くのイヌは獰猛で、走っている車に吠えながら追いつき、体当たりするくらいである。多くの牧夫の足には、イヌに噛まれた傷跡がある。
この杖に、頭のターバンを載せて高く掲げることは、羊群には強い刺激となる。群の動きを急に止める必要があるときに用いられる。
(略)
杖や投石器以外、牧夫だけが用いる道具はない。
パシュトゥーン遊牧民の家畜群所有者も、雇われた牧夫も、質を別にすれば、同じような袖の長いチャパンという外套をはおっている。
彼らが袖に手を通すのは、冬季だけである。このチャパンが、夏の牧野の野外での寝泊りに重要なことはすでに述べた。
このチャパンについて重要なことは、これを着て両腕を横に広げると、牧夫の体が幅三倍くらいに見えることである。
当然、こうすることによって牧夫は羊群に強い視覚的な刺激を与えることができ、急に群の動きを止めることが可能になる。

松井健による、アフガニスタンのパシュトゥーン遊牧民などへの調査が非常に興味深い、「遊牧という文化」から、放牧の技法に関する章を。
チャパンというと、ハーミド・カルザイ氏が羽織ってたやつ、というイメージが強いかと思うんですが、そんな使いかたをするものだったとは。

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ラグビーワールドカップ2015の「ひつじのショーン」グッズ

ひつじグッズ

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9月に開催する4年に一度のラグビーワールドカップ。
2015年大会はラグビーの母国イングランドで開催されます。
今大会もJ SPORTS オンラインショップでは、大会を盛り上げるラグビーワールドカップオフィシャルグッズを発売!!

 

日本が劇的な勝利をあげた、ラグビーワールドカップ2015対南アフリカ戦、ご覧になりましたでしょうか。
こちらのオフィシャルグッズに「ひつじのショーン」が使われているとの由、ak様から教えていただきました。ありがとうございます。
闘うショーン。似合ってますね、なぜかすごく。

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「ポントルモの日記」

ひつじ話

木曜日の朝、眩暈がして一日中続いた。
それ以来気分が悪く頭がぼんやりしていた。
木曜日の晩は旨い去勢羊のミネストラと砂糖大根のサラダ。
金曜日の晩、砂糖大根のサラダと卵の魚にした卵を二つ。
土曜日、断食。
日曜日の晩は枝の主日の晩で、夕食に茹でた去勢羊とサラダを少しずつ食べた。
それに三クァットリーノのパンを食べたはずだ。
月曜日の晩は夕食の後とても元気があって具合が良い気がした。
レタスのサラダ、旨い去勢羊のミネストラ、それに四クァットリーノのパンを食べた。

16世紀フィレンツェの画家、ヤコポ・ダ・ポントルモが最晩年につけていた日記です。おそらくは健康管理を主目的としており、そのためか食事の話が延々と続きます。……羊肉、多いですね。

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金沢動物園に行ってきましたー!

ひつじを見にいく

長年の憧れ、横浜市立金沢動物園へ、ついに行ってまいりました。
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世界の希少草食動物を中心に飼育
金沢動物園は横浜市の南部に位置し、ハイキングコースで繋がる円海山・北鎌倉近郊緑地保全区域やいくつかの市民の森に囲まれた緑豊かな金沢自然公園内にあり、世界の希少草食動物を中心に飼育しています。

オオツノヒツジの赤ちゃんが生まれたと聞いては憧れ、ジャコブ種のヒツジがいると聞いては憧れ。
そして今また、スーチョワンバーラルの赤ちゃんが公開されたというではないですか。
うむ。行かねばなるまい。

中国名を「岩羊」といい、その名のとおり、標高3、000m以上の起伏の激しい山岳地帯に生息する。
優れた跳躍力とバランス感覚を持ち、危険を察知すると追っ手も近づけない高みへと駆け登る。

スーチョワンバーラルの赤ちゃん 一般公開
7月13日(月)に誕生したスーチョワンバーラルの赤ちゃん(オス)を、8月29日(土)から一般公開いたします。
スーチョワンバーラルの赤ちゃんの愛称は、『ラージ』 に決まりました。
今回の子は、アルファベットの L で始まる愛称で、母親「ジャイアント」にちなんで、大きく立派に育つように、と願いを込めて、名付けられました。
8月29日(土)は、9:30─15:30までラージがいる群れを展示いたします。
その後は、オスの群れと日替わりで展示いたします。

 同上 内 お知らせ 

さて。オオツノヒツジをモチーフにしたと思しき記念モニュメントに意表をつかれながら入り口のトンネルを進み、
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まずは「アメリカ区」へ。オオツノヒツジが岩場の上から睥睨しているところにご挨拶です。
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土曜日には彼らのツノに触ることもできるようです。これは、いずれの再訪の日のために覚えておかねば。
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続いて、コリデールとジャコブのヒツジがのんびりたたずむ、「ほのぼの広場」。
ああ、いますね、変った色柄の子が。そうか、この子がジャコブ種なのか。
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そしてさらに歩いた先は、「ユーラシア区」。スーチョワンバーラルがいるところです。やっぱり岩場が似合いますね。
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ツノのまぁ、なんとみごとなこと。大人のオスですね。
……って、あれ? 
スーチョワンバーラルって、オスの展示の日とメスと赤ちゃんの日が日替わりなんでしたっけ(泣)。
……い、いや! いやでも、彼らの魅力はなんといってもこのかっこいいツノですし! うん、これはこれで!!
というわけで、どうか皆様は、立派なツノかかわいい赤ちゃんか、見たいほうの日をご確認の上でお出かけくださいますよう……。
おまけ。こちらの動物園のオリジナル手ぬぐいを買って帰りました。
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使うのがちょっともったいない素敵さです。

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ビュルガー編 「ほらふき男爵の冒険」

ひつじ話

いやしかし、綺麗に金のメッキをした駕籠がですナ、円屋根の一番でかいのより更に周囲がある巨大な気球にぶらさがって、ワガハイの舟から二尋ほどのところに、落下してきたときの、ワガハイの驚きをまあ御想像下され。
駕籠には男一人と羊半匹が乗っており、羊はどうやらこんがり焼けているようす。
(略)
ま、そうはいっても目下の彼氏はです、落下のせいでよほど調子が狂ったか、ほとんど一言も口がきけないくらいでありましたが、しばらくたって回復すると、こんな報告をしてくれました。
「 (略) こいつでイギリスのコンウォール岬から飛びあがりました。羊をのっけたのは、上を見上げて口あいてる何千の見物衆の前で、空からひとつ奇術をみせてやろう、と思ったんです。
運悪く上がってからたった十分も経たないうちに風が急に変わりやがって、降りる予定のエクスターの方へ行く代わりに、海の上へ吹き流されちまい、どうやらそれっきりずっと、計測りようもない高いところを漂ったらしいです。
羊の奇術ができなかったのは、幸運てましたね。なにしろ空中飛行も三日目となると、あっしはひどく腹が減りましてね。可哀そうだが羊を殺らざるをえなかった。
その時はお月さんの上空遥かに昇ってまして、それから更に十六時間も上昇すると、遂に太陽にえらく近くなって眉毛が焦げるほどだった。
そこであっしは皮を剥いでおいた羊を、太陽が一番強くあたるところ、つまり言いかえりゃ、気球の影が落ちない所に置きましてね、このやり方で四十五分ばかりもたつと、完全な丸焼一丁あがりってわけで。この焼肉であっしはずっと生きてきました。」

ビュルガー編の『ほらふき男爵の冒険』より、「ミュンヒハウゼン男爵の海の冒険」第四話を。この「そんなバカな」感がたまりません。

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シュレックを超えるもこもこ羊現る。

ひつじ事件

オーストラリアの首都キャンベラ近くで毛が伸びすぎて命を失う危険もあった羊が見付かり、羊の毛刈りの王者が志願して余分な毛を排除し、助け出す一幕がこのほどあった。
豪州の王立動物虐待防止協会によると、長さ約45センチの毛刈りには45分間要し、刈り取った量は40・45キロ。世界最多の記録としている。作業の間、羊をおとなしくさせるため鎮静剤が投与された。
同協会は豪州の毛刈り王者をこれまで4度獲得していたイアン・エルキンスさんに接触し、助言を求めていた。
巨大な体を持つこの羊は発見者から「クリス」と呼ばれ、見付けた時はほとんど歩けない健康状態に陥っていたという。クリスは羊毛を採るために育てられるメリノヒツジ種とされる。
クリスの年齢や性別、体長などは不明。キャンベラ郊外で発見された経緯も伝えられていない。

ak様とK&T様から、ニュージーランドの脱走羊シュレックを軽く上回る巨大羊のニュースをお知らせいただきました。ありがとうございます。
シュレックの羊毛は27キロだったのですが、今回のクリスは40キロ。ここまで来ると、命にかかわってしまうのですね。無事で良かったことです。

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北海道、上士幌町のふるさと納税と、「北海道生活」48号

ひつじグッズ

北海道 上士幌町 20万円以上の寄附でもらえる
ゴーシュ羊牧場の仔羊まるごと一頭

羊を自然の中で健康に育てている「ゴーシュ羊牧場」から、子羊一頭の枝肉に、引き取り可能な内臓をお付けしてお送りします。
パーティーなど大勢の方が集まる場で、ぜひ一頭無駄なく使い切ってご堪能ください。
■内容 仔羊一頭の枝肉(25─30キロ)
※保健所の衛生検査を通過した内臓も、ご希望によりお付けすることができます
※枝肉での出荷となりますので、畜肉等解体の経験・技能をお持ちの方を確保のうえお申し込みください

K&T様から、北海道は上士幌町のふるさと納税情報をいただきました。ありがとうございます。
残り少ないので急ぐよう言ってくださっていたのに、今確認したら、とっくに品切れになっているじゃないですか。
ああ、どこのどんな人がこんなたいへんなものを……。
ただ、「ゴーシュ羊牧場」のサイトを拝見したところ、適宜通販をされている模様。

ゴーシュ羊牧場公式HP

また、雑誌『北海道生活』48号が現在発売中。特集「羊をめぐる旅」にて、こちらの牧場を含む、北海道の羊情報を堪能できます。

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ご興味がおありの向きは、ぜひぜひ。

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美輪和音 「強欲な羊」

ひつじグッズ

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美しい姉妹が暮らすとある屋敷にやってきた「わたくし」が見たのは、対照的な性格の二人の間に起きた陰湿で邪悪な事件の数々。年々エスカレートし、ついには妹が姉を殺害してしまうが──。
その物語を滔々と語る「わたくし」の驚きの真意とは?

「白暮のクロニクル」に続いてサスペンスつながりで、というつもりで三輪和音の小説「強欲な羊」を入手。ジャンルとしてはミステリだと思うのですが、ホラーかサイコホラーに近い内容でした。
以前ご紹介したことのある米澤穂信の「儚い羊たちの祝宴」にテイストが近くて、これはこれでなかなか。羊モチーフって、怖い話と親和性高いですよね、じつは。

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ゆうきまさみ 「白暮のクロニクル」

ひつじグッズ

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現代の吸血鬼“オキナガ”の雪村 魁は、
かつて恋をした女性-棗(なつめ)-を殺した犯人へ、復讐を誓う。
そして…抜かれた内臓、若き女性の死体、12年に一度のひつじ年。
“羊殺し”の条件が揃った凄惨な事件が発生―――
魁とあかり…数奇な運命に導かれたふたりは、
真犯人を捕らえることができるのか!?
時をかける謎に迫れ―――ドラマティック極上ミステリー!

ゆうきまさみの新たなる代表作(だと思うんですが、どうでしょう)、「白暮のクロニクル」の最新刊が出ました。
いよいよ物語が盛り上がりを見せてきたところで、手に汗握りつつ耽読中です。

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マンデヴィル「東方旅行記」(続き)

ひつじ話

以上の島々から海路でなん日も東へむかうと、マンシーと呼ばれる一大王国に達する。
(略〉
また、この国には、羽毛のない白い牝鶏がいて、わが国の羊みたいに、まっ白い羊毛をはやしている。

第二十二章より

こんどは、カタイの国の彼方にある国々や島嶼について話したい。
(略)
さて、この国土からさらに進むと、バカリイに達するが、そこには凶悪な人間がたくさん住んでいる。
また、国内には、まるで羊のように、羊毛を生み出す樹木があって、人々はこれで布を作る。

第二十九章より

先日の、マルコ・ポーロ「東方見聞録」(続き)から勢いづきまして、やはり昔お話をしたマンデヴィル「東方旅行記」を読みなおしてみました。
以前は植物羊関連のお話ばかりをしていたのですが、他にも少しだけヒツジに触れた箇所があるようです。羊毛牝鶏については、挿絵をご紹介したことも。

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谷泰「牧夫の誕生」より。

ひつじ話

草の支給量に対してもはや肉の取得量が増加しない成長期を過ぎた雄は、確実に徒食者と見なされることになる。
こうして、一歳半から二歳までの雄を殺すためだろう、動物考古学者は、残存消費遺骨のなかで、ある段階から、この年令以上の雄が減少するという一般的事実を確認している。
(略)
しかもこの消費戦略が、その後、西アジアの牧民のもとで、変わらず実施され続けられたことは、歴史的資料からも確認されている。
たとえば紀元前1000年期の新バビロニア時代の委託家畜の記録でも、家畜群の性・年齢構成において、雌に対する雄の頭数はきわめて少ない。
またシュメール時代、周辺地域から貢納としてもたらされた羊・山羊のほとんどが雄である。
そしてこのような雄が、神殿において供犠獣として用いられている。
周辺地域の牧民たちは、群れを殖やすに役立つ雌は資本財として手元に残し、間引くべき雄は流通財として貢納として出した。
そこに見られる性差に応じた財としての差異化も、再分配の中心である神殿での供犠における雄の特化も、まさにこういう初期牧畜の成立以後ずっと維持されてきた家畜経営戦略を前提することなしには成立しえなかったことと言ってよい。
しかも、この一歳を過ぎた段階で幼雄を一斉に間引くというプラクティスが、ヘブライズムでの過ぎこしの祭り、キリスト教での復活祭、またイスラムのラマダンあけの祭りで、当歳の雄を殺して食するという慣習の背景にあることはすでに指摘した。

先日の、乳加工食品の成立についての論考があまりにおもしろかったので、改めて、同著者の「牧夫の誕生」を読んでみました。引用は、羊・山羊の家畜化以後の技法的展開に関する部分。やはり刺激的です。

記事を読む   谷泰「牧夫の誕生」より。

渡辺崋山 「十二支図巻」(部分)

ひつじ話

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「渡辺崋山・椿椿山が描く花・鳥・動物の美」展カタログ

江戸後期、渡辺崋山の「十二支図巻」より、羊の部分を。愛知県、田原市博物館蔵です。

記事を読む   渡辺崋山 「十二支図巻」(部分)

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