ラシャメンとは、けだし羅紗綿の意で、当時、我が国へ渡来した紅毛碧眼の人々が来ていたラシャ(ポルトガル語)に由来するのでしょう。
それの綿に目をつけたまではよかったのですが、綿と羊毛とはまったく性質の異なる繊維だったのに気がついたとき、高級感をイメージすべき羊毛が、綿布など混同されてはたまらんと、心配症の人々が知恵をしぼったあげく、もともとの羊毛が縮んで波打つようにみえるところから、そのころ輸出品としてブームを呼んでいた絹織物の縮緬(ちりめん)に名を借り、緬羊という字をつくったものなのだそうです。
しかし、こうした苦労の末につくられたせっかくの緬でしたが、結局は迷案の域をでなかったらしく、戦後の漢字制限に遇って、あえなくその姿を消してしまいました。
先日、横浜絵をご紹介したときに触れた羅紗綿(羅紗緬)関連で、さらにもう少し。
「ヒツジ」や「綿羊(緬羊)」と並立する呼称の混乱について、「干支の動物誌」に興味深い解説がありました。