宮部みゆき 「ここはボツコニアン」

ひつじ話

ぎりぎりセーフで再移動した先は、今度こそ地面の上であった。
但し、羊の群れのど真ん中だ。
「うわぁ?!」
「いちいちうるさいなあ。うちのヒツジちゃんたちだってば。みんな、ただいま」
白いウールを着込んだ羊たちは、ピピによく懐いているらしく、わさわさと寄ってくる。ピピは両手を広げて羊たちに取り囲まれた。
「羊? ヒツジ? どうして羊?」

宮部みゆきのゲーム&映画趣味がはじけ放題のファンタジー(たぶん)小説、「ここはボツコニアン」です。引用は、物語冒頭、ヒロインのピピの家である羊牧場にて。なぜヒツジなのかについて、ピピが「うちのおじいちゃんはグレン・フォードの大ファンだから」とか言ってるんですけど、すみません、ネタ元がわかりません……。

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大阪天満宮表門の方位盤

ひつじ話

さて、せっかく大阪まで来たことですし、もうひとつヒツジを見てまいりましょう。
というわけで、やってきました、大阪天満宮。
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大阪天満宮公式HP

地下鉄南森町駅かJR東西線大阪天満宮駅で降りて、すぐ南。
こちらの敷地の南にある表門の天井に、十二支をあしらった大きな方位盤が下がっていて、それはみごとなのですよ。
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門の下をくぐりながら見上げれば、
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こんな感じ。ヒツジ部分のアップも下に。
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お近くならば、ぜひ一度。

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大阪新阪急ホテルのマシュマロひつじ

ひつじグッズ

ak様から、大阪でひつじのマシュマロが売られているとの情報をいただいて、ふらふらと行ってまいりました。
場所は、阪急梅田駅至近の新阪急ホテル。1階のラウンジ「ブリアン」他で販売されています。

ふわふわの羊に見立てた苺風味のマシュマロでまるごと1個の苺と白餡を包みました。
2014年3月1日(土)?4月30日(水)
1個 450円 (消費税込)

混みあったロビーできょろきょろしていると、ああ、ありましたありました。
「ブリアン」のショーケースの中央あたりに、なにかピンクのふわっとしたものがあるではないですか。
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近づいてみると、たしかに。
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ちょっと時間が押していたので、テイクアウトで。帰宅して、お茶を入れて、
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いただきます。
思えば、羊のかたちやイメージというのは、お菓子と相性が良いのでしょうね。これまでにもいくつかひつじ型お菓子をご紹介したことがあります。ショートブレッドとか落雁とか、ドーナツとかドーナツとか。
ご縁があれば、ぜひ。

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アブラハム・ブルーマールト 「羊飼いへの降誕の知らせ」

ひつじ話

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 「華麗なる17世紀ヨーロッパ絵画」展カタログ 

16?17世紀オランダ、アブラハム・ブルーマールトの「羊飼いへの降誕の知らせ」です。
キリスト降誕のお告げを受ける羊飼いたちを描いたものは、ずいぶんご紹介しています。このあたりでぜひ。

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グランマワイルズのミュージカルシープティン

ひつじグッズ

以前、ベルフィンのファームアニマルズを買ったことのあるカルディコーヒーファームで、あらたにグランマワイルズの羊柄ビスケット缶を見つけた由、K&T様からお知らせいただきました。ありがとうございます。
というわけで、いそいそとカルディまで行ってまいりました。

カルディコーヒーファーム公式HP
グランマワイルズ公式HP 内 ミュージカルシープティン

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フルーツ&レモン、バターショートブレッド、チョコチップの三種のビスケットが入って300グラム。缶の裏にはなんとオルゴールが付いており、「baa baa black sheep」のメロディが流れます。
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缶が本体ですね、これはもう。もちろん、ビスケットも素敵です。ほろほろでサクサクです。

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ブルフィンチ『中世騎士物語』より、「キリッチとオルウェン」

ひつじ話

彼らは、旅をつづけて一つの広い原のところまで来た。
そこに、その美しさはまたとなかろうと思われるような大きな城があった。
城の前へ来てみると、たくさんな羊の群がいた。
羊を番している羊飼が丘の上にいた。
毛皮衣を羽織って、そばに九歳駒より大きな尨毛の猛犬がいた。
(略)
「羊飼さん、いかがかね?」
「私同様、あなたがたも御機嫌よろしいように。」
「お前さんが番をしている羊は誰のものかね? そして、むこうに見える城は誰の城だろう?」

以前紹介した『ケルトの神話・伝説』の「キルフフとオルウェンの物語」を、ブルフィンチ著、野上弥生子訳の「中世騎士物語」バージョンであらためて。
ブルフィンチは、「ギリシア神話と英雄伝説」のお話をなんどかしています。

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羊型鼻煙壷

ひつじ話

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ガラス青被せ 羊型鼻煙壷
清時代末・19?20世紀
高さ3.5センチ、幅7.3センチ
鼻煙壷は嗅ぎタバコを入れるための小さな壺です。
アメリカ大陸原産のタバコが、16世紀半ばごろにヨーロッパへ伝えられ、17世紀後半ごろにはヨーロッパから中国に嗅ぎタバコの習慣が伝えられました。
(略)
乾隆帝のころから、宮廷では工芸の技法を駆使して、様々な鼻煙壷が製作されました。
鼻煙壷は単なる実用品としての容器ではなく、細密な細工が施された工芸品であり、また高価な素材を用いたステイタス的な愛玩品でもありました。

 「中国工芸の精華─鼻煙壷 沖正一郎コレクション」 

清代の鼻煙壷です。大阪市立東洋陶磁美術館蔵。

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メリーチョコレートのメリーの森が広がってます。

ひつじグッズ

メリーチョコレートのキャラクター、「メリーちゃん」。グッズなどがかわいくて好きなのですが、ふと気が付くと、仲間たちがすごく増えてました。家族とか先生とか憧れのマドンナさんとか。いつのまに!

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こちらのフェイス巾着は、マシュマロ入りですね。ホワイトデー仕様でしょうか。

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「民族と色の文化史」

ひつじ話

赤色には家畜を守る役割もあります。
ネゲブ砂漠のベドウィンの習慣では、群れのなかの乳を出す雌羊は女性が所有することになっています。
女性たちはこれらの雌羊の毛を赤く染めて目立つようにします。
こうすれば自分の家畜を見分けることができ、また、悪霊たちに、家畜は怪我をしているか死んでしまっているのだと思い込ませて、群れから引き離すこともできるのです。
(略)
中近東では、油煙から得た黒インクに硫酸鉄を加えて改良していました。
顔料はきわめて細かい粉に砕かれ、インクにとろりとした質感をあたえました。
この、いわゆる「オリエント・インク」は、コーランを美しい書体で書けると重宝がられました。
マグレブ地方では、羊の尾の、とりわけ脂肪分の多い羊毛を燃やして煤のインクを作っていました。
羊毛の房を少量の塩といっしょに土製の皿にのせ、火にかけてあぶります。
こうして得た灰を、石を使って粉々にして水をかけ、ふたたび火にかけます。
できあがった塊は、冷めると硬く均一になるので、必要に応じて、小片を取って水に溶かします。
溶かす割合に応じて、黒や茶色のインクになるのです。

世界の色彩にまつわる文化を網羅した「色―世界の染料・顔料・画材 民族と色の文化史」から、羊関連の記事を。

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ベックマン 「西洋事物起原」

ひつじ話

シャルルマーニュは、冬に肩と胸を覆うような外套を着たが、外国の服を敵視して自国の毛皮だけを使い、ある写本の記事によると、カワウソの毛皮だけを用いた。
それなのに当時の宮廷では高価な東洋の毛皮が使われていたらしい。
というのも、シャルルマーニュは寒くて雨降りの日に従者と共に狩りに行くとき、羊の皮だけを着たが、従者のほうは、イタリアでヴェネチア人が商っていた高価な品物を知って、その外国製の布と毛皮でできた服を着ていたからである。
これらの外国製の毛皮は、十分に水を吸わせ、火で乾燥させると粉々になった。
シャルルマーニュは自分の羊の皮を乾かし、こすらせて廷臣に見せて、彼らの外国の毛皮の服を嘲笑った。

18世紀ドイツ、ヨハン・ベックマンによる技術史の古典『西洋事物起原』より、「毛皮の衣服」の章を。

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「ウールの衣服」展

ひつじ話

神戸ファッション美術館にて、ウールをテーマにした展覧会が開催されていると聞いて、泡を食って行ってまいりました。
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六甲アイランドのアイランドセンター駅前にある小さな美術館なのですが、中身は充実しています。古今東西の民族衣装が一堂に会する常設展示が、まず一見の価値有り。
こちらの「ウールの衣服」展では、いきなりオーストラリアメリノ羊の剥製が出迎えてくれました。びっくりしたびっくりした。

羊が人のくらしと歩みはじめて約一万年、人は豊かさを求めてウールを変化させてきました。
原毛、糸、布、民族衣装、ファッション、そしてアートへと、ウールの衣服は、身体を包むだけ でなく心を包むものにもなり、広がりを遂げてきました。
本展では、ウールの衣服の多様化、 魅力、可能性をご紹介しながら、豊かに生きるための衣服とはどのようなものか、私たちにとり 本当の豊かさとは何かを、皆様とともに考え見出してまいります。
2014年1月24日(金)?3月25日(火)
開館時間:10:00 – 18:00(入館は17:30まで)
休館日:水曜日

他にも、刈り取られたままのフリースが12種類、ずらりとエントランスに並んでいたり、糸紡ぎ体験会が開催されていたり。ひつじ天国です。時を忘れます。ぜひ。

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イギリスの野良羊問題。

ひつじ事件

英・溢れかえる野良ヒツジ軍団に村民大迷惑!
イングランド北西部のロウテンストールという村で、野良ヒツジの群れに困惑しているという。
14年ほど前からこの村ではヒツジの被害を受けてきたが、最近になりますます問題が悪化してきている。
地元の農場から逃げ出してきたと思われるそのヒツジの群れは、村中を駆け巡り、私有地を踏み荒らすなど、村民の日常生活に大きく支障をきたしているという。
村民の1人は「このヒツジたちは私たちの庭を荒らしています。一般道にも、村の中心部にさえも溢れかえっているんです」と被害を訴えている。
さらに地元小学生たちは、遊び場にたむろするヒツジの集団を恐れて、外で遊ぶことさえもなくなってしまったそうだ。
同校の校長は「この地域には過去14年間に渡って野良ヒツジがいますが、問題は悪化してきています。そのせいで我々は子供たちが外で遊ぶのを止めさせたくらいです!前日は3匹、今日は6匹のヒツジという具合に、どんどん迷惑になってきています。子供たちも怖がっていますよ」と話している。
地元自治体も、「もしヒツジたちが高速道路で問題を起こしたら警察に連絡するように」と伝えているという。

ak様から、イングランドのニュースを教えていただきました。ありがとうございます。
ak様からは、シュレックを思い出すとのコメントをいただいたのですが、ついうっかり「ブラックシープ」を連想してしまいました。もうダメです。

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プッサン 「羊飼いの礼拝」

ひつじ話

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 「カンヴァス世界の大画家 14 プッサン」

17世紀フランス、ニコラ・プッサンの「羊飼いの礼拝」です。
後景に、羊飼いへのお告げの場面が。ボスの「キリスト降誕」エル・グレコの「羊飼いの礼拝」と似たパターンですね。
プッサンは、これまでに「聖家族、四人」「ディアナとエンデュミオン」をご紹介しています。

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「ニルスのふしぎな旅」

ひつじ話

つぎの日、雄の羊はニルスを背中にのせ、小カール島を案内してまわりました。
島は、ひとつの大きな岩でできていました。まるで垂直に切り立った壁に、平らな屋根がのっている巨大な円柱形の家のようです。
羊はまずその屋根の上にあがり、そこがすばらしい牧草地であることをニルスに見せました。
ニルスも、この島はまるで羊のためにあるみたいだと思いました。島の上には、羊が好きなウシノケグサやさらさらの香草しかはえていないのです。

セルマ・ラーゲルレーヴの『ニルスのふしぎな旅』から、13章の「小カール島」を。
旅の途中、ゴットランド島沖の小カール島に住む羊の群れと知り合ったニルスたちは、彼らを襲う狐と闘うことになります。引用は、リーダー格の雄羊の背に乗って島を歩く場面。
「ニルスのふしぎな旅」については、ak様に教えていただきました。ありがとうございます。

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「北槎聞略―大黒屋光太夫ロシア漂流記」

ひつじ話


バランといふ。黒白斑(まだら)数種あり。毛ばかりとりて織物とし、肉を食料に充つ。
もつとも民用に利あるものなる故、家々に多く養ひおくなり。
らしやも羊の毛にて織る。羊毛を紡ぎ投梭(つきひ)にておる。
織たてたる時は常の木綿のごとくにて毛見えず、水をふき毛の剛き刷(はけ)にてすりたゝみおけば、毛起り出るとなり。

18世紀末、大黒屋光太夫のロシア見聞をもとにした地誌「北槎聞略」から、羊についての一文を。

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