コロー 「納屋の内部」

ひつじ話

「納屋の内部」
この納屋の内部は彼がめったに扱わない主題であったが、農民の生活を描いていながら、その静けさと安らかさは夢幻的でさえある。
実地のメモによると、晴れてはいるが冷え込む秋の日も、彼はこっそり座って、形態にあたっった光の効果を研究し続けることを許されていたようだ。

「アイルランド国立美術館所蔵19─20世紀フランス近代絵画展」カタログ

ジャン=バティスト・コロー、最晩年の作品である「納屋の内部」です。

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成田ゆめ牧場 ヤギ?ヒツジ?鳴き声ヒアリング教室

ひつじを見にいく

開催日時: 3/2(土)・3(日) 13:00?13:30
参加費用: 無料(牧場入場料別途)
開催場所: エーカー広場(雨天時ビッグバーン)
3月3日の「耳の日」を記念して、動物の鳴き声ヒアリング教室を開催。
ヤギさん、ヒツジさんの「メェ?」を聞き分けられるかな?

ak様から、千葉県の成田ゆめ牧場にて、3月2日及び3日に、羊関連イベントがあるとのこと、お知らせいただきました。ありがとうございます。
……声、声ですか。羊は「ベェー」だし、山羊は「メェー」だし、違いは瞭然だと思ってたんですが、……そうでもないんでしょうか。いやまぁ、個体差も大きそうですし。お近くならば、ぜひ挑戦を!

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ブルフィンチ『ギリシア神話と英雄伝説』より、「エロースとプシューケー」

ひつじ話

翌朝、アプロディーテーがプシューケーを呼び出して、こう言った。
「あの川辺に広がる小さな森をご覧なさい。
あそこでは羊たちが羊飼いもいないのに草を食んでいるわ。
その体には山吹色に輝く毛がついているのがわかるでしょう。
お前はそこに行って一頭ずつ、毛を刈り取り、その高価な羊毛のサンプルを私に持ってきなさい」
プシューケーは素直に川岸に赴き、最善を尽くしてこの命令を実行しようと心掛けるのだった。
しかし、川の神が周辺に群生している葦に霊気を吹き込んで、リズミカルに囁くような声を発しており、その声はこんな風に言っているようであった。
「まあ、厳しい目にあっているお嬢さま、ここの危険な川を渡ったり、向う岸にいる恐ろしい牡羊の群れに入ってはいけません。
あの羊たちは昇る朝日の光を体に浴びていると、残忍なほど怒り狂って、その鋭い角や荒い歯で人間を殺します。
けれど、真昼の太陽が輝く頃は、木陰に追われて、おだやかな川の精が羊たちに休息を与えてくれます。

ブルフィンチのギリシア神話から。
美神アプロディーテーに憎まれた美女プシューケーは、女神からいくつかの試練を与えられます。引用はそのひとつ、凶暴な羊から毛を手に入れるというもので……?
ブルフィンチからの引用は二度ほどしておりますので、こちらでご参考にぜひ。

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アッシリアの浮彫

ひつじ話

アスタルトゥの制圧 アスタルトゥの制圧(部分)
紀元前730─727年頃
縦 190.0、 横 195.0、 厚 16.0
(略)
都市が陥落して、その住民たちが連行されていくところが描かれている。
棍棒を持ったアッシリアの兵士が四人の捕虜を追い立てており、捕虜たちは財産を入れた麻袋を肩にかついでいる。
(略)
画面上部では、別のアッシリア兵が尾の太い羊を追い立てている。

「大英博物館 アッシリア大文明展─芸術と帝国」カタログ

アッシリアニムルド遺跡出土の、宮殿の壁面を飾る浮彫です。

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フランス・ブーテル 「キリストへの天使の贈物」

ひつじ話

「キリストへの天使の贈物」 「キリストへの天使の贈物」(部分)
1634年にルーベンスの門に入り、同年アントワープの聖ルカ組合に親方として認められた。
当時権勢が強大であったルーベンスの影響とバン・ダイクの影響が、はっきりとこの作品にあらわれている。

 「黄金の17世紀フランドル絵画展」カタログ 

17世紀フランドルのフランス・ブーテルによる「キリストへの天使の贈物」です。
影響を与えたとされるルーベンスについては何度かお話しておりますので、こちらで。
他にフランドルの同時代人としては、ヨルダーンスの「聖アンナ、若い洗礼者ヨハネおよびその両親といる聖家族」などをご紹介しています。

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ゲーテ 「ファウスト」

ひつじ話

泉が湧き出で、集まって小川となり流れおちる。
山峡や山腹や草地はもう緑になっている。
断続する平野の幾多の丘のうえには、
羊が散らばって進むのが見えましょう。
(略)
静かな木陰には生温かい母乳が湧いて
子供や子羊の飲むのを待っているし、
平地の熟した食物である果実も手近にある。
また洞になった木の幹からは蜂蜜が滴る。

ゲーテ「ファウスト」第二部第三幕から。
ファウストが理想の美女ヘーレナを得て、楽園アルカディアにひとときを過ごす場面です。
ゲーテのお話は何度かしておりますので、こちらでぜひ。

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ヴァントリーズ 「聖書の絵師」

ひつじ話

「腐蹄病?」 彼女は持ってきた四半期の台帳を繰った。
「タールの支払いがありませんね」
荘園執事は体重をもう片方の足に移しかえた。「羊飼いの報告が遅くて、感染した羊の足を治療するためのタールを買う暇が─」
「あなたは荘園執事でしょう。責任は羊飼いのジョンではなく、あなたにあります。第一、感染が広がる前に治療できるだけのタールを、つねに備えておくべきでしたよ。何頭の羊が死んだんです?」
シンプソンはまた大きな体を動かし、左手をぴくぴくさせた。「八……十頭です」
キャスリンは背筋を伸ばした。 「どっちです、シンプソン? 八頭、それとも十頭?」
荘園執事は何度か左手を開いたり閉じたりして、つぶやいた。「十頭です」
二百五十ポンドの羊毛が失われた! あてにしていた二百五十ポンドが。

十四世紀イングランド、ワット・タイラーの乱前夜の重苦しい時代を舞台にした歴史ロマン、「聖書の絵師」から。小説の冒頭、ヒロインの女領主キャスリンと敵役の執事との、胃にこたえる会話です。

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マザー牧場 ひつじの大行進《愛の羊文字編》

ひつじを見にいく

愛の羊文字
マザー牧場の名物イベント「ひつじの大行進」で人文字ならぬ羊文字が出現!
●開催日● 2/9(土)?11(月)、14(木)
●時 間● 12:30?(約15分)
●場 所● ひつじの牧場
●料 金● 無 料
※雨天中止。
※ワンちゃんを連れての観覧はできません。

千葉県のマザー牧場で、ヒツジが贈るバレンタインイベントが開かれているとのこと、ak様からお知らせいただきました。ありがとうございます。
短期イベントのようで、あとは14日当日のお昼にしか見られないみたいです。「約15分」というのは、ハート型にまかれた餌が食べ尽くされるまでの時間とのこと。
そろそろ子羊出産ラッシュのシーズンですから、そちらもあわせて楽しめると良いですね。

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小川一水 「天冥の標 6 宿怨 PART3」

ひつじ話

次にブレイドはメララの隣のヒツジに目をやった。
「それは一体? 家の中で粗相をされると困るんだが」
するとそのとき、メエ、メエエエ、と喉を慣らすように鳴いてから、ヒツジがひずんだ声で答えた。
「ブ─ブレイド・ヴァンディ、君たちがヒツジの落とし物を忌々しく思っていることは、ザリーカの時代からよく知ってる。ちゃんと砂箱で用を足すから心配はいらないよ。ひとまずぼくたちと手を結んでくれないか」

毎回、新刊を待ちかねて読む小川一水の大河SF「天冥の標」シリーズが、第六巻(分冊の巻があるので九冊目ですが)にしてついに中盤戦を終えたようです。
五百年に渡る宿怨、人類社会の危機、共存を求めてなおあがく人々。そしてヒツジ(いえほんとに)。

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古代エジプトの木棺

ひつじ話

木棺 木棺(部分)
テーベ出土の木棺  2世紀  大英博物館

古代エジプトの棺です。大きく描かれた天の女神ヌトの周囲に、黄道十二星座が。
黄道十二宮を描いたものは、これまでにずいぶんご紹介しておりますので、まとめてこちらで。

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カレル・チャペック 「オランダ絵図」

ひつじ話

「オランダ絵図」
オランダ、すなわち水。オランダ、すなわち花壇。オランダ、すなわち牧草地。
(略)
運河と運河間の緑の干拓地とその上の、白い羊たち、緑の牧草の天国にある巻毛の正しき魂たち。

カレル・チャペックの旅行記『オランダ絵図』から、「田園地帯 真のオランダ」の章を。

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リーベラーリス 『メタモルフォーシス』より、「ヘーロポス」

ひつじ話

エウグノートスの子エウメーロスはボイオーティアー地方のテーバイに住んでいた。
彼にはボトレースという名の息子がいた。
このエウメーロスはアポローン神を大いに崇拝していた。
ある時、彼がアポローンに犠牲を捧げていると、息子ボトレースがそばにやってきて、羊を祭壇に捧げる前に、その脳みそを食べてしまった。
このことを知ってエウメーロスは憤り、祭壇から松明を取り、息子の頭をこれで打ちたたいた。
子供は血を流して倒れ、身体は死に瀕して痙攣していた。
母親はこれを見て、父親エウメーロスや召し使い共々、大きな悲しみに打たれた。
アポローンは憐れんで、というのもエウメーロスがアポローンを崇拝していたからであったが、子供をハチクイドリに変えた。
この鳥は今もなお、地中に卵を産み、常にせわしなく飛びまわっているのである。

2?3世紀のローマにいたと思われるアントーニーヌス・リーベラーリスの変身物語集から、「ヘーロポス(ハチクイドリ)」の章を。
同じ変身物語集ながら、オウィディウスのほうはこれまでに何度かお話をしておりますので、まとめてこちらで。

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『クルイロフ寓話集』より、「狼と子羊」

ひつじ話

「それじゃ、名付け親か親戚の者、つまり、おまえの身内の誰かだ。
おまえたちも、番犬も、羊飼いも、みんなおれの不幸を望んでいる。
だから、折あらばおれに危害を加えようとしているのだ。
しかし、やつらの罪はおまえで埋め合わせてやる。」
「わたしが、どんな悪いことをしたのでしょうか?」
「だまれ! おれは聞きあきた。
おれにおまえの罪を調べているひまがあるか、青二才!
おれが食いたいという理由でおまえは罪があるんだ。」
そう言うと、暗い森の中へ子羊を引きずって行った。

19世紀ロシアのイヴァン・アンドレーヴィチ・クルィロフの寓話集から。
以前お話したことのある、イソップラ・フォンテーヌの同名の寓話が下敷きになっているようです。「強者の理屈はつねに通る」という教訓のためのお話なのですが、クルイロフ版は、またとくに怖いですね……。

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ルネ・ダンジューの武術試合

ひつじ話

ルネ・ダンジュー(1409─80年)は、学者、詩人、芸術家、建築家で、愛の作法の実践者であり、かつ武芸に秀でた勇者で、輝かしく影響力のある宮廷を主宰していた。
そしてかつて馬上武術試合の儀式について著されたもっとも細心な論文、『騎馬試合の形式と手順について』の著者であったばかりでなく、またいくつもの風変わりな武術演技の主人役を務めた。
(略)
さらにもっと驚くべきものが、1449年にタラスコンで催された「女羊飼いの武術試合」である。
ルネの宮廷における、ひなびたさまを理想化し称揚する文学趣味を反映して、このときはギャラリーが草葺きの四阿であった。
試合場の一端には、「かわいらしい羊飼いの少女」がおり、「小さい唐鍬」を持って木の下で「羊」の番をしていた。
そして木の上には、二人の挑戦者の持つ黒と白の楯が架けられていたが、これは陰鬱と歓喜を表している。
もちろん挑戦者は、「二人の牧人ふうの高貴なる騎士」にかしずかれた羊飼いよろしく盛装して到着した。

ヨーロッパの王侯貴族が作り上げた祝祭空間について語る「ルネサンスの祝祭」から、ルネ・ダンジューのユニークな武術試合を。

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古代ギリシアのヘルメス像

ひつじ話

ヘルメス
ヘルメスは古代ギリシア神話では牧人の神でもあった。左腕で雄羊をかかえている。

ボストン美術館蔵のヘルメスをかたどった彫像です。
ヘルメス関連では、これまでに、「ヘルメース讃歌」「善き羊飼い」モチーフの解説「転身物語」のアルグス殺害のエピソードなどをご紹介しています。

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