15世紀イタリア、ヴェネツィア派の巨匠ジョヴァンニ・ベッリーニの「聖母と祝福する幼な子キリスト」です。ブレラ美術館蔵。
ヴェネツィア派関連では、これまでに、ティツィアーノを多数、ヤコポ・バッサーノをいくつか、パオロ・ヴェロネーゼ「聖カタリナの神秘の結婚」、ロレンツォ・ロット「羊飼いたちの礼拝」、パルマ・イル・ヴェッキオ「聖家族と聖ヨハネ、聖女マグダラのマリア」などをご紹介しています。
ジョヴァンニ・ベッリーニ 「聖母と祝福する幼な子キリスト」
『イソポのハブラス』より、「狼と羊の譬の事」
ある川ばたにおおかめも羊も水を飲むに、狼(おおかめ)は川かみに居、羊の子は川裾にゐたところで、
かの狼この羊を喰(くら)はばやとおもひ、羊のそばに近づいていふは、
「其方(そち)はなぜに水を濁らいてわが口をば汚(けが)いたぞ」といかつたれば、
羊のいふは、「われは水すそにゐたれば、なぜに川のかみをば濁さうぞ」と。
(略)
その時おおかめ「所詮問答は無?(むやく)ぢや、なんであらうともままよ、ぜひに汝(おのれ)をば、わが夕めしにせうずる」というた。
これをなんぞといふに、道理をそだてぬ惡人にたいしては、善人の道理とそのへりくだりも役にたたず、ただ權柄ばかりを用ようずる儀ぢや。
イソップ寓話のもっとも古い邦訳を。先日ご紹介した『万治絵入本 伊曾保物語』から、さらに少し時期をさかのぼった1593年、九州天草でイエズス会によって作られた『イソポのハブラス』より、『伊曾保物語』と同じく「狼と羊の譬の事」を引いてみました。
これまでのイソップ寓話関連は、こちらで。
古代オリエントの玉座肘掛け装飾部品(?)
古代オリエントの玉座肘掛け装飾部品(?)
西アジア様式
クラスノダル地方クバン川流域ケレルメス第3号墳
紀元前7世紀
金・琥珀 鍛金 彫金 金粒細工 象嵌 19.2センチ「エルミタージュ美術館名品展 ─生きる喜び─」カタログ
エルミタージュ所蔵のスキタイ美術を。
スキタイの黄金美術は、トヴスタ=モヒーラ古墳の胸飾りなどをご紹介しています。
アンリ・ルソー 「ピンクの服の少女」
「アサヒグラフ別冊 美術特集 西洋編1 ルソー」
19世紀フランス、アンリ・ルソーの「ピンクの服の少女」です。少女の両脇に、白黒一対の羊か山羊とおぼしき動物が。
ドメニコ・ヴェネツィアーノ 「東方三博士の礼拝」
風景に広汎に見られる細部描写と、それを際立たせている自然主義と狩猟への特別な嗜好は、とりわけピサネッロを通じてドメニコに及ぼされた北方絵画の影響である。
にもかかわらず、人物の造形性や確固たる姿勢、豊かな遠近法的知識に基づく形態や構図は、この作品がルネサンス芸術に属していることを示している。
15世紀イタリアのドメニコ・ヴェネツィアーノによる「東方三博士の礼拝」です。ベルリン美術館蔵。
完全無欠の羊は、パンダ顔
世界の生活情報サイト「ima」に記事を寄せておられる東畑様から、色柄がかわいい羊の品種「ケリーヒル」について教えていただきました。ありがとうございます。
羊なんだけど 目と鼻の周り、耳、足の先っぽがパンダのように黒なんです。
ケリーヒル(Kerry Hill) という品種で、ウェールズのケリーという村に起源をもちます。
仔羊ラッシュの季節になりました。
今年もそろそろ仔羊ベビーラッシュのニュースが見られる頃かと思っていたところ、ak様から、全国各地の観光牧場の記事をまとめてお寄せいただきました。ありがとうございます。まずは北海道から。
子羊が200匹…ビニールハウスで出産ラッシュ
北海道恵庭市にある農業テーマパーク「えこりん村」が、羊のベビーラッシュにわいている。
雪に囲まれたビニールハウスでは1月末から次々と出産が始まり、約200匹の子羊が元気な鳴き声を上げている。ピンク色の鼻と小さな耳が特徴で、母親のそばに寄り添う姿もみられる。5月頃までに、さらに約150匹が生まれる見込み。
ああ、やっぱり今年もかわいいですね。
ひきつづいて、神戸の六甲山牧場。
ヒツジの出産相次ぐ 六甲山牧場
神戸市灘区の市立六甲山牧場で、羊の出産が相次いでいる。今年はすでに51頭が誕生。母親と一緒に走る愛くるしい子羊たちが来場者の人気を集めている。
同牧場によると、2月16日に最初の1頭が生まれた。5月上旬までに約100頭が生まれる見込みという。生まれた直後の体重は3?4キロ。母親にミルクをねだる様子や、元気に跳ね回る姿が見られる。
担当者は「いつまで眺めていても飽きないほどかわいい。ぜひ見に来てほしい」としている。2012年3月2日付 読売新聞記事京都の碇高原牧場。
ヒツジとヤギ、出産始まる 京都・京丹後の府碇高原牧場
京丹後市丹後町の府碇高原牧場で、ヒツジとヤギの出産が始まった。生まれたばかりの赤ちゃんたちは、母親に寄り添って乳を飲んだり互いにじゃれあったりするなど、元気な様子を見せている。
同牧場では毎年8、9月に自然交配を行い、翌年2、3月に出産時期を迎える。
今年度自然交配を行ったのは、ヒツジ9頭、ヤギ9頭。19日にこのうちのヤギ1頭がメスの双子の赤ちゃんを産み、残りのヤギやウシたちも分娩室などで出産に備えているという。
赤ちゃんは、4月にオープンするふれあい広場で公開される予定。さらに、千葉のマザー牧場も。
赤ちゃんヒツジすくすく 出産ラッシュ始まる 富津のマザー牧場
富津市田倉のマザー牧場で、ヒツジが出産ラッシュを迎えている。今年は14日に最初の赤ちゃんヒツジが誕生。22日までに23頭が生まれ、母ヒツジのそばですくすく成長している。
同牧場では全身が白いコリデールと、顔と足が黒いサフォークの2種を育成。計35頭の母ヒツジは昨秋に交尾、約150日の短い妊娠期間を経て2?3月に出産を迎える。
牧場内の「誕生館」では、生まれたての赤ちゃんヒツジが母ヒツジに寄り添う愛らしい姿を見学できる。25日からは、赤ちゃんヒツジと写真を撮れる「ふれあい写真館」が多目的ホール内にオープンする。羊ラベルのワイン 「Difference」
ワインで羊ラベルというと、多くのかたがシャトー・ムートン・ロートシルトを思い浮かべられるような気もするのですが、そういう手の届きにくいものはとりあえず置いておいて、このたび近所のスーパーで、お手頃のフランスワイン「Difference」を買ってまいりました。
ラベル部分のアップも。
こちらのラベルにはカベルネ・ソーヴィニヨンとありますが、他にもシャルドネやシラーなど何種類かあるようで、それぞれ色違いの羊が描かれてます。お見かけになることがありましたら、ホワイトデーなどにいかがでしょう。おおさか府民牧場が完全閉場
『閉場のお知らせ』
大阪府民牧場は平成24年3月31日をもって閉場することとなりました。
長らくのご愛顧誠にありがとうございました。
これに先立ち、動物の譲渡や場内整備を行うため、3月4日(日曜日)をもちまして営業を終了し、下記のとおり休業いたします。
なお、開場以来12年間ご来場いただいたたくさんの皆様に感謝し、3月11日(日曜日)「まきば感謝デー」を開催しますので、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
【休業日】 平成24年3月5日(月)?3月31日(土)まで{3月11日(日)を除く}
【まきば感謝デー】◆日時:平成24年3月11日(日) 10:00?17:00
◆内容:無料開放(入場料・駐車料無料){動物とのふれあいイベントについては変更する場合があります}
『動物の譲渡について』
閉場に伴う、下記動物たちの譲渡受付は終了いたしました。(馬・ポニー・アルパカ・ヤギ・ミニブタ・牧羊犬)
羊の譲渡については、引き続き受付しております。
ご希望の方は牧場までご連絡下さい。大阪府豊能郡能勢町の観光牧場「おおさか府民牧場」が、このたび閉場されるとのこと、アムさまからお知らせいただきました。ありがとうございます。
ひつじnewsは残念ながら行ったことがないのですが、人懐っこいひつじたちのいる良いところだったとのこと。
3月11日(日)の「まきば感謝デー」、お近くのかたは、ぜひ。流行とカリカチュア
ヨーロッパの風刺画を集めた「諷刺図像のヨーロッパ史」から、フランス帝政下の帽子の流行に対するカリカチュア、「顔を見せない」を。
シンプルなシュミーズドレスに大きなボンネットを合わせるのが、当時の流行だったのでしょうか。羊の群れが雨宿りできそうなほどに。『イソップ寓話集』より、「狼と羊」
お腹がいっぱいになった狼が、地面に羊の伸びているのを見つけたが、自分が恐ろしくて倒れたのだと知ると、側へ行き、安心させて、本当のことを三つ語ったなら逃がしてやる、と言った。
羊が口を切って言うには、まず第一に狼に出くわしたくなかった、次に、どうしても出くわす運命であったのなら、目の見えぬ狼であってほしかった、そして第三に、
「お前たち狼はみな、悪人相応にひどい死に方をすればよい。私たちから何も害を受けていないのに、ひどい戦いを仕かけてくるのだから」
狼は羊に嘘偽りはないと認めて、逃がしてやった。
真実はしばしば敵の中でも力をもつ、ということをこの話は解き明かしている。イソップ寓話集から、「狼と羊」です。
これまでにご紹介しているイソップ寓話関連記事は、こちらで。「ヴィンランド・サガ」
11世紀、ヨーロッパ中に恐怖を撒き散らした戦闘民族、ヴァイキング。
その中でも最強の戦士「ヨームの戦鬼」と恐れられた男・トールズは息子を授かり、トルフィンと名づけた。
最強の武力を誇りながら戦争を嫌い、剣を捨てて本当の戦士になろうとしたトールズはしかし、幼い息子を残して戦死した。トルフィンは戦場で戦いながら成長し、やがて精強な戦士となった。
この物語は、本当の戦士を目指すトルフィンを描く、ヴァイキング叙事詩である。幸村誠の歴史マンガです。ありそうで意外に見かけない、ヴァイキングもの。血沸き肉踊りますが、ひつじ度も高いです。おもに食べものとしてですが。
「しあわせのパン」
今冬、北海道から心あたたまる映画をお届けします。
舞台は、北海道・洞爺湖のほとりにある小さなまち・月浦。
映画『しあわせのパン』は、宿泊設備を備えたオーベルジュ式のパンカフェを営む夫婦と、その店を訪れるお客さまたちの人生を描く、春夏秋冬の物語です。羊のいる映画が上映されているとのこと、もりもとさんから教えていただいて、1月末より全国公開中の「しあわせのパン」を観て参りました。
主人公の夫婦が飼っている仔羊のゾーヴァが、それはもうかわいいのですよ。いつもテラスや菜園にいて、お客様をじっと見送る、淡々とした存在感が良いです。
名前は、たぶん、ミヒャエル・ゾーヴァからとられているのでしょうね。『万治絵入本 伊曾保物語』より、「狼と羊との事」
ある川の辺(ほとり)に、狼と羊と水を飲むことありけり。
狼は上(かみ)にあり、羊は川裾にあり。
狼、羊を見て、かの傍に歩み近付き、羊に申しけるは、「汝、何の故にか、我が飲む水を濁しけるぞ」といふ。
羊、答へて云く、「我、川裾にて濁すとて、いかで、川上の障りとならんや」と申しければ、
狼、又云く、「汝が父、六ヶ月以前に、川上に来て水を濁すによつて、汝が親の咎を汝にかくるぞ」といへり。
羊、答へて云く、「我、胎内にして、父母の咎を知る事なし。御免あれ」と申しければ、
狼、怒つて云く、「それのみにあらず。我が野山の草を恣(ほしいまま)に損ざす事、奇怪なり」と申しければ、
羊、答へて云く、「いとけなき身にして、草を損ざす事なし」といふ。
狼、申しけるは、「汝、何の故に悪口(あくこう)しける」と怒りければ、
羊、重ねて申しけるは、「我、悪口をいふにあらず。その理(ことわり)をこそ述べ候へ」といひければ、
狼の云く、「詮ずる所、問答を止めて、汝を服せん」といひける。
その如く、理非を知らぬ悪人には、是非を論じて栓なし。
只、権威と堪忍とをもつて、むかふべし。イソップ寓話のお話をもう少し。
日本にこれほどイソップ物語が浸透しているのは、江戸初期という非常に早い段階でその翻訳が普及したことが、大きな要因であろうと思われます。
こちらは、その翻訳である「伊曾保物語」から、「狼と羊との事」を。以前ご紹介した「狼と仔羊」に対応するお話ですが、内容教訓ともに、少し手が加えられているようです。『イソップ寓話集』より、「羊飼の悪戯」
羊飼が羊の群を村から遠く追って行きながら、いつもこんな悪さをした。
大声で村の人に助けを求めては、狼が羊を襲いに来た、と言ったのだ。
二度三度は村人たちも慌てて飛び出して来て、やがて笑いものにされて戻って行ったが、とうとう本当に狼が来てしまった。
羊の群が分断され、羊飼は助けを求めて叫んだが、村人はまたいつもの悪さだと思って、気にもかけなかった。
こうして羊飼は羊を失ってしまった。
嘘つきが得るものは、本当のことを言った時にも信じてもらえぬこと、ということをこの話は解き明かしている。先日の、星新一「オオカミがきた」のフォロー記事を。元ネタのイソップ寓話、「羊飼の悪戯」です。
イソップ寓話は、これまでにもいくつかご紹介しておりますので、こちらで。