『マビノギオン』より、「エヴラウクの子ペレドゥル」

ひつじ話

そこでペレドゥルは馬を進め、苦患の王の子らの宮殿にたどりついた。
入っていくと、出迎えるのは女ばかりである。みな立ち上がって、彼を歓迎した。
物語をするうちに、鞍をおいた軍馬がもどってきたが、鞍には死骸が横たえてあった。
ひとりの女が立っていって、鞍から死骸を下ろし、扉の下にあった湯の器をもってきて清め、高価な香油を身体に塗りつけた。
すると男はよみがえって、起きあがり、ペレドゥルのそばに来て、挨拶し、嬉しそうな顔をした。
(略)
翌朝、若者たちは起き出して出かけてゆき、ペレドゥルは、かれらの愛する女人のためにも、同行させてくれるよう頼んだが、断られた。
「あなたがここで殺されても、よみがえらせるものがありませぬ」
みなはそう言ってでかけ、ペレドゥルはあとについていった。
(略)
やがて川の流れる谷があり、そのへりには木々が茂っており、川の両岸には平らな草地があった。
こちら岸には白い羊が、向こう岸には黒い羊の群れがいた。
白い羊のどれかがメエと鳴くと、黒い羊の一頭が川を渡ってきて、白い羊になった。
黒い羊がメエと鳴くと、白い羊が川を渡ってきて、黒くなった。

以前触れたマビノギオンに出てくる羊のお話をあらためて。独特の生命観の例として挙げられていたものですが、羊の谷を通って化け物退治へ向かうまでの経過が、また不可思議です。

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「Home Sheep Home 2」

ひつじ画像・映像

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ショーンやティミーやシャーリーを動かすゲームがあると、もりもとさんからお知らせをいただきました。ありがとうございます。「ひつじのショーン」のキャラクターたちを協力させてクリアするアクションパズルの模様。やってみたんですが、難しいです。下の攻略用動画(?)も合わせてぜひ。

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コープス・パフォーマンス《ひつじ》

ひつじ画像・映像


「Mary & Wool」のしつじ様からいただいた(ありがとうございます!)ひつじ情報をもうひとつ。
カナダの劇団コープスによるパフォーマンス「ひつじ」です。教えていただいたYouTubeの映像は、2011年11月3日に高知県立美術館で、開館18周年記念イベントとして行われたものとのこと。シュールというか、問答無用に異世界を作り上げているというか。ひんぱんに海外公演を行なう劇団のようですので、いつかどこかで見る機会があるかもしれません。どんな世界がそこに生まれるのか、体感してみたいです。

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ラリックのカーマスコット 「雄羊の頭」

ひつじ話

カーマスコット
雄羊の頭 1928年
マスコットはスカットル(ボンネットと車室をつなぐ部分)かラジエーターキャップ部分に装着されました。
価格は当時大きな作品で約7ポンド、小さな作品は約3ポンドでした。
今現在の価格に換算すると10万?20万円くらいに相当するのではないかと考えられます。

交通機関の発達と伴に旅行やスポーツが社交生活に取り入れられた1920年代の後半から30年代にかけて、ラリックは自動車のボンネットを飾るカーマスコットや豪華列車、大西洋横断豪華客船の内装など交通関係の仕事を手掛けました。
当時の自動車はラジエーター・グリルがフロントに露出していて、冷却水を注ぎ入れる注ぎ口のキャップの上に車種を象徴するマスコットをつけることが流行りました。
ラリックのマスコットはガラス製で特定の車種を想定したものではなく、オーナーの好みによってどんな車にもつけられる個性的なアイテムでした。

先日、牡羊のランプをご紹介したルネ・ラリックの作品をもうひとつ。
トヨタ博物館に常設展示されているコレクションを見学に行ってきたのですが、猪や馬のマスコットと同じケースに飾られてました。ので、おそらく猪突猛進のイメージで作られたものではないかと。

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「富岡恋山開」(続き)

ひつじ話

「富岡恋山開」舞台上の羊
大切な品物や密書、証文の類を鳥や犬が銜えていったり、破ってしまったりするのは歌舞伎の類型だが、その役を紙を食べる習性の羊にさせたところに斬新さがあり、観客は喜んだ。
賑やかな辻打の合方を使い、猥雑な雰囲気を舞台一杯に醸し出す見世物小屋のシーンは、次なる文化文政期に四代目鶴屋南北が得意としたところである。
上方から下った五瓶が、時代の観客の好みを素早く掬み上げ、彼らを喜ばせるコツを熟知していたことが、見世物小屋の道具を飾って羊を働かせた写実の趣向に表れている。

 松竹歌舞伎会 月刊会報誌「ほうおう」2006年4月号 

羊が活躍する唯一の歌舞伎、「富岡恋山開」について教えてくださった「Mary & Wool」のしつじ様から、さらに追加情報をいただきました。ありがとうございます。
歌舞伎会の会報2006年4月号に「歌舞伎博物館 動物篇 第27回 羊 文・服部幸雄」と題された記事があり、平成12年12月国立劇場にて上演された「富岡恋山開」のひつじ写真が掲載されているとのこと。ふさふさしてて、かわいいです。

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『閲微草堂筆記』より、「牧童と大蛇」

ひつじ話

一人の牧童が羊を飼っていた。
ところが毎日、一匹か二匹はいなくなってしまうので、主人からひどく叱られた。
そこでよく注意しながら様子を見ていると、二匹の大蛇が山の襞から出て来て羊を吸いこみ、食ってしまうのである。
大きさは甕ほどもあって、とても立ち向える相手ではなかった。
牧童はひどく口惜しがり、父親と相談して、山の襞に大きな刀を立てておいた。
すると計略どおり、一匹の蛇が腹を裂かれて死んでしまった。

中国清代、紀昀による怪異譚『閲微草堂筆記』より、「牧童と大蛇」を。
二匹の大蛇のいっぽうを退治した牧童と父親は、しばらくはもう一匹を警戒していました。半年たってもうよかろうと放牧地に戻ってきたところ……?
同時代の怪談集に、袁枚の『子不語』があります。ご参考にぜひ。

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Robot Sheep Shearing

ひつじ画像・映像


水兎さまから、羊の毛を刈るロボットの映像を教えていただきました。ありがとうございます。
おとなしいですね、羊……。見てるほうがハラハラするのですが、どうなんでしょう、実際。
BWH羊毛収穫法のほうは、普及してないのでしょうか。
映像はYouTubeから。

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フェリシモ どうぶつコレクション

ひつじグッズ

6頭のひつじポーチの会
いつでも応援するために小さくなってかけつけた6頭のひつじポーチの会
6sheep
a.ポールドーセット b.ドライスデール c.マンクスロフタン d.サフォーク e.ブラックフェース f.メリノ

羊の森さまともりもとさんから、フェリシモ商品のひつじ度の高さについてお知らせをいただいて、あわてて雑貨カタログ「クラソ」を買ってまいりました。ありがとうございます。
いやもう、かわいいにもほどがあります。なかでも、このポーチのコレクションがもう。何食わぬ顔をして、マンクスロフタンがいるのがたまりません。

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ブルックスブラザーズのクリスマスCM

ひつじ画像・映像

リボンでつりさげられた金羊毛の商標でおなじみのブルックスブラザーズのCMがたいへんキュートだと、YouTubeで話題になっているようです。

キュートです。
ほかに、メイキングとおぼしきものもありました。たいへんそうです。

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『続一休咄』より、「一休、あて字を訓み給ふ事」

ひつじ話

「いったいこの鳥羊と申しますものは、いまだかつて承ったことがありません。薬材にでもあるのでしょうか、あるいはひょっとすると菓子の類ではないでしょうか。よくよくお考えください」と言うので、
一休和尚も少しの間考えをめぐらされて言うことには、
「なんともまあ思いも寄らないあて字であることよ、ちょっと判読しかねたのも当然だ。これは鳥刺に用いる鳥黐(とりもち)のことだ」とおっしゃった。
しかし、その男は不審そうな表情で、「鳥羊と書いて黐と読みましょうか」と言うと、
「そうは読めない字を宛てるから宛字というのだ。
そもそもあのつつじということ、まだ花開かぬつつじのつぼみが乳頭に似ているので、これをみた羊が転がるように近づいていくとか言う。
だから『羊躑躅(ようてきちょく、羊が伏しつ転びつする)』と書いて、『もちつつじ』と訓読する。
その人は何かの字尽(じづくし)の一紙に『羊躑躅』に『もちつつじ』と仮名がついているのを見て、『羊』という文字は『もち』と読むものと理解して、鳥と言う文字と羊という文字で『黐』の意味に用いたのではと思いついたのだ」とおっしゃった。

一休宗純を主人公とし、現在に続く「とんちの一休さん」のイメージのもとともなった江戸期の読み物のひとつである、『続一休咄』より、「一休、あて字を訓み給ふ事」です。
判読できないなあて字をされた注文書を受け取った人物が、和尚に相談に来る場面です。これは「黐(とりもち)」を送ってくれということだろう、辞書に載っていた「羊躑躅(もちつつじ)」の読みについて誤解したのだ、との推理が披露されています。
「もち」と「羊」がどこでつながるのかについてが判然としないのですが、モチツツジの鳥もちのような粘着性、つぼみが乳頭に似ていることによる「タルルチチ」語源説、和漢三才図会にある礼を知る子羊の話などが参考になるかと思われます。
この記事は、ak様から情報をいただきました。ありがとうございます。

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ギデオンの羊毛

ひつじ話

ギデオンは神に言った、
「あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルを救おうとされるならば、わたしは羊の毛一頭分を打ち場に置きますから、露がその羊の毛の上にだけあって、地がすべてかわいているようにしてください。これによってわたしは、あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルをお救いになることを知るでしょう」。
すなわちそのようになった。
彼が翌朝早く起きて、羊の毛をかき寄せ、その毛から露を絞ると、鉢に満ちるほどの水が出た。
ギデオンは神に言った、
「わたしをお怒りにならないように願います。わたしにもう一度だけ言わせてください。どうぞ、もう一度だけ羊の毛をもってためさせてください。どうぞ、羊の毛だけをかわかして、地にはことごとく露があるようにしてください」。
神はその夜、そうされた。すなわち羊の毛だけかわいて、地にはすべて露があった。

 旧約聖書 士師記第六章 

旧約聖書の士師記より、自覚の乏しいままに指導者となるべく召命を受けてしまったギデオンが、神を試す場面を。

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12世紀装飾写本の「ノアの箱舟」

ひつじ話

「ノアの箱舟」 「ノアの箱舟」(部分)

ウンベルト・エーコ「芸術の蒐集」から、12世紀装飾写本の「ノアの箱舟」を。どうも納得のいかない生き物がまざってる気がしますが、羊は普通に羊のようです。

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時祷書 「羊飼いへのお告げ」

ひつじ話

「羊飼いのお告げ」

時節柄ということで、「羊飼いへのお告げ」を描いた、15世紀スペインの時祷書です。
時祷書は、「ベリー侯の豪華時祷書」「ワーンクリフの時祷書」などで、羊飼いへのお告げを描いたものをご紹介しています。

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「赤い羊は肉を喰う」

ひつじ話

「いいことでもあったのか?」
「まあね」
電話口から、理香子の可愛らしい笑い声が漏れてくる。
「─ねえ、赤い羊って見たことある?」
突然、理香子はそう訊いた。
「赤い羊?」
どういうわけか、偲は背筋がぞくっとした。いるわけがない動物の存在を、さらりと口にした理香子。彼女の中では、その存在に違和感がない証拠だ。
「そうよ。あたし、今日見ちゃった」

五條瑛の小説を。ジャンルとしては、サスペンスでしょうか。冒頭、主人公の女友達が謎めいた言葉を残して失踪する直前の場面です。

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『転身物語』より「カエサルの昇天」

ひつじ話

いたるところで地獄の鳥である梟が、不吉な予兆を告げた。
多くの場所では、象牙の神像が涙をながし、神聖な杜では、哀泣の声やおそろしげな叫びが聞えたといわれる。
いくら犠牲をささげても、よい兆しはあらわれず、その臓腑は、大きな変事が近いことを予示し、なかでも肝臓の先端は、剣のために切りつぶされていた。

先日ご紹介した、エトルリアの肝臓占いについて、もう少し。オウィディウスの「転身物語(変身物語)」より、ユリウス・カエサルの暗殺が描かれる「カエサルの昇天」を。
その大きさによって吉凶を判断するべき部分が切りつぶされていることが、大凶のしるしとなっているようです。

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