数分後、ハントは土の山のそばに立ち、ショベルを手にして、墓穴の底のリネンにつつまれた小柄なかたまりを見おろしながら、なにかいうべきことを見つけようとした。
国の関係する葬儀には何度となく出席したことがあるし、グラッドストーンのために弔辞を代筆するのはお手のものとあって、ハントはこれまで、悔やみのことばに詰まったためしがない。
だが、こんどばかりは、なにも頭に浮かんでこなかった。
唯一の聴き手は、依然としてイトスギの影に佇立する無言のシュライクと、鈴の音を鳴らしながらおどおどと怪物から遠ざかり、遅参した参列者のように墓に近づいてくる羊たちだけだ。
ジョン・キーツ、ではなくて、キーツの詩や関係する人物、事物を大きく作品に取り入れたダン・シモンズのSF、「ハイペリオン」シリーズの二作目です。物語終盤、この世界のターミネーター的怪物であるシュライクに見張られながら、重要な登場人物が葬られる場面。