バーネット 「秘密の花園」

ひつじ話

ディコンはコリンが座っているソファのところまで行って、生まれたばかりの子ヒツジをコリンの膝にそっと置いた。
すると、この小さな生き物はすぐに温かいベルベットの部屋着に顔を押しつけ、鼻先を布地にぐいぐいすりよせ、巻き毛の頭でコリンのわきばらをそっとつっついて、何かねだるようなしぐさを見せた。
これで口をきかずにいられる少年など、いようはずがない。
「この子、何してるの?」コリンが声を出した。「何をほしがってるの?」
「母親を探してるんだよ」ディコンの顔に笑みが広がっていく。「おれ、わざと少しはらぺこにして連れてきたんだ。こいつがミルク飲むとこ、見たいだろうと思って」
ディコンはソファのかたわらに膝をつき、ポケットからミルクびんを取り出した。

フランシス・ホジソン・バーネットの「秘密の花園」から。
病弱な少年コリンのもとに、主人公のひとりメアリと野生児ディコンが、母羊を亡くしたばかりの子羊を連れてくる場面です。

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「空からきたひつじ」

ひつじグッズ

「空からきたひつじ」
クリスチーネは、ひつじのそばにひざをついて、やわらかい毛をなでました。
すると、ひつじがかぼそい声でいいました。
「まちがえたの。ここじゃ、だめなの。雲のひつじなんだもの。お空であそんでたのに、おっこちちゃったの」
ひつじは、かなしい顔でひつじ雲をみあげて、さびしそうに
「メエ!」と、なきました。

児童文学を。フレート・ロドリアン作、ヴェルナー・クレムケ絵の「空からきたひつじ」です。
空から落ちてしまったひつじ雲のひつじと出会ったクリスチーネは、ひつじを空にかえしてあげるために奔走するのですが……?

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「馬小屋のクリスマス」

ひつじグッズ

「馬小屋のクリスマス」
むかしむかしの クリスマスの夜。
さいしょの クリスマスのおはなしです。

季節外れながら、クリスマス絵本を。アストリッド・リンドグレーン文、ラーシュ・クリンティング絵、「馬小屋のクリスマス」です。
クリスマス絵本は何冊かご紹介しておりますので、こちらでまとめてぜひ。

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「ひつじのショーン」がかえってきた!

ひつじ画像・映像

アニメ『ひつじのショーン』
NHK教育テレビ
2010年10月3日より  毎週日曜 午前7時? 放送開始予定
原案: ニック・パーク
監督: リチャード・ゴルゾウスキー
製作総指揮: マイルス・バロウ/ピーター・ロード/ニック・パーク/ディビッド・スプロクストン
テーマ音楽「ひつじのショーン」
うたと演奏: 石井竜也とタトーシープス

もりもとさんから、「ショーンカムバック」とタイトルのついたタレコミメールをいただきました。
え、まさかと思いきや、3年前に大騒ぎをした「ひつじのショーン」が、ふたたびNHK教育テレビで見られるようです。これはもう、わくわく待つしかありません。

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「黄金伝説」より「聖アグネス」

ひつじ話

友人たちは、八日間聖アグネスの墓のそばで見張りをしていた。
八日目に、突然墓のほとりに乙女たちの輪舞があらわれた。
乙女たちは、かがやく金いろの衣裳をつけていた。
そのまんなかに、金いろの衣をまとい、右手に雪よりも白い子羊をつれたアグネスの姿が見られた。

13世紀イタリア、ヤコブス・デ・ウォラギネによる聖人伝「黄金伝説」から、聖アグネスの章を。殉教した聖女が、自らの墓に現れて人々をなぐさめる場面です。
聖アグネスについては、いくつかご紹介しておりますので、こちらで。
「黄金伝説」は、聖クレメンスの章をご紹介したことがあります。

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雑草食べ、ヒツジが管理に一役 守山・バラ農園

ひつじ春夏秋冬

滋賀県守山市十二里町のバラ農園で飼われている2匹のヒツジが、園内の管理に一役買っている。
雑草を食べて草刈りの手間を省き、食用目的のバラの無農薬栽培にも病害虫対策になるのではとの期待も。
何より園内でのんびり草をはむ姿が関係者の心を和ませている。
ヒツジは、いずれも今春に生まれたメスで、名前は「ういろ」と「もなか」。
同園を経営する武田浩治さん(55)が、8月下旬に知人から譲り受けた。
2匹は毎日、朝夕に温室周辺の畑や空き地などで雑草を食べている。
武田さんは「根こそぎというほどではないが、雑草だらけの場所をきれいにしてくれる」と喜んでいる。

先日、滋賀の獣害対策記事をお知らせいただいたak様から、さらに雑草対策に活躍するひつじ記事をいただきました。ありがとうございます。こちらも滋賀ですね。ひつじたちの名前がかわいいです。
雑草対策のひつじといえば、ジュネーブの国連欧州本部という、いろいろと桁が違ってそうな場所をご紹介したことが。

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「ゲーテとの対話」(続き)

ひつじ話

私は口にこそ出さなかったが、むしろ宗教問題についてのさまざまの異論が、昔から人間同士を仲たがいさせ、敵対させている、いやそれどころか、人類最初の殺人さえも、かたよった敬神がもとで起ったのだ、と考えていることに気づいた。
私は最近バイロンの『カイン』を読み、とりわけ第三幕と殺人の動機づけに感嘆した、と話した。
「そうだろう」とゲーテはいった、「あの動機づけは見事なものだ! あれにはこの世ではもう二度と書かれることがないほど、じつに類のない美しさがある」
「『カイン』も」と私はいった、「はじめはイギリスで禁止されたのですが、いまでは誰でも読んでいて、イギリス人でも若い人は旅に出るとき、大ていバイロン全集を携えていますね」
「それも馬鹿げた話だが」とゲーテはいった、「というのも、『カイン』全体のなかにあるのは、つまりはイギリスの僧正たち自身が教えているものにほかならないのだからね」

昨日のルーベンス「野良の帰り」についての対話にひきつづいて、エッカーマン「ゲーテとの対話」からもうひとつ。以前ご紹介したバイロンの「カイン」が、ゲーテによって絶賛されています。

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エッカーマン 「ゲーテとの対話」

ひつじ話

ゲーテは、食事の前に、ルーベンスの一枚の風景画を見せてくれた。
それは夏の夕景色を描いたものであった。
前景の左手には、家路につく農夫の姿が見え、絵の中央には、一群の羊が羊飼いについて村へ向っている。
右手の奥の方には、乾草車があって、まわりでは、農夫たちがせっせと乾草を積んでいる。
その横では、馬車を解かれた馬が草をはんでいる。
(略)
私には、その全体がじつに真に迫っているようにみえ、細部もじつに忠実に描かれていたので、私は、ルーベンスは、この絵をまったく写生したのだろうという意見を述べた。
「そうではない」とゲーテはいった、「これほど完ぺきな光景は、自然の中ではとうてい見られるものではなく、この構図は画家の詩的精神の産物なのだ。
しかし、偉大なルーベンスは、なみなみならぬ記憶力にめぐまれていたので、自然を全部頭の中に入れておき、いつでも自然の細部を思う存分使いこなせたのだ。

ゲーテ最晩年の言動を伝える、エッカーマンの「ゲーテとの対話」から。
以前ご紹介したルーベンスの「野良の帰り」について、ゲーテが若いエッカーマンにその芸術性を語ったことが記されています。
彼らの会話は、じつは実際の絵とは左右が逆になっているのですが、これは手元にある版画を眺めての話だからのようです。現代ならば、画集を眺めるような感覚ですね。
ゲーテに関しては、「西東詩集」をご紹介したことがあります。

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ヒツジ放牧で獣害対策 米原市で実証実験、気配で撃退、雑草も減少

ひつじ春夏秋冬

田の周辺の草を黙々と食べるヒツジ
サルやイノシシ、シカによる農作物への被害を防ごうと、米原市小泉でヒツジの放牧による獣害対策が始まった。10月まで実証実験の予定で、市農林振興課担当者は「ヒツジは雑草も食べてくれるため、一石二鳥。新たな獣害対策の切り札になれば」と期待を込める。
同課によると、ヒツジの放牧は、その気配によって獣を寄せ付けないほか、草を食べて獣が身を潜める場所もなくす効果があるという。
増え続ける獣害を防ごうと、ヒツジを使った獣害対策先進地の東近江市にアドバイスを受けながら事業を計画。8月上旬に県の畜産技術振興センター(日野町)から無償で借り受けた。
杉林に隣接する約700平方メートルの田の外側を囲んだ2重の柵の中に現在、雌4頭が放されている。柵や小屋の材料費は市が負担し、ヒツジの管理は、地元自治会が担う。
8月の暑さでヒツジは一時体調を崩したものの持ち直し、現在は食欲旺盛。田の周りの雑草をほぼ食べ尽くした。市担当者は「除草効果は抜群。イノシシの出る10月ごろに獣害への効果が分かってくるだろう」と話している。

ak様から、羊の活躍を報ずる新聞記事をお知らせいただきました。ありがとうございます。
いままでにご紹介した新聞記事を読み返してみたのですが、島根長野滋賀のダチョウに、京都のレンタカウなど、こうしてみると、全国的な取り組みなのですね。

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メーテルリンク 「ペレアスとメリザンド」

ひつじ話

         三の場 お城のテラス
イニョルド少年
(略)
立ちどまった……右手へ行こうとしてる羊がある……みんな、右手へ行きたがってる……でも、行けないんだ……羊飼いが土くれを投げつけてる……おや、おや、こっちを通っていくぞ……みんな、おとなしく随いていく。
(略)
……みんな、黙ってしまったぞ……羊飼いさん、ね、どうして羊たち、もう啼かなくなったの。
羊飼い
(姿は見えない)家畜小屋に戻る道じゃないからさ……

モーリス・メーテルリンクの戯曲、「ペレアスとメリザンド」から。
第四幕のなかば、お城のテラスで一人遊びをするヒロインの義理の息子が、悲しげな声をあげながら追い立てられる羊たちを見かける場面です。

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ミルトン 「リシダス」

ひつじ話

われら ともども手をとりて、同じ丘にてはぐくまれ、
泉、森かげ、清流のほとりに同じ群羊(むれ)を追い、
小高き丘の森かげに
暁あかく明くるとき
われらともども野に出でて
冷たき朝の露をもて 羊の群を育てつつ
夕空に昇る明き星
西転の軌道(みち)を下るまで
暑苦しき蟋蟀(こおろぎ)の翅音(はおと)ひねもす聞きたれば。

17世紀、清教徒革命下のイギリス、ジョン・ミルトンによる、亡くした友人を追悼するパストラル・エレジー「リシダス」を。
「同じ丘」で「同じ群羊」を追うという隠喩によって、同じ学舎で過ごし、ともに学究にはげんだ思い出が語られます。
牧歌(パストラル)については、田園詩、田園画ともに、このあたりで。

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「本草綱目 獣部」より「羊」

ひつじ話

地生羊
西域に産する。劉郁の出使西域記に『羊臍を土中に種(う)ゑて水を漑(そそ)いで置くと、雷を聞いて臍が生える。その臍は地に連つてゐるのだが、生長してから木聲で驚かすと斷(き)れ離れて歩行(ある)き出し、草を囓(く)ふ。秋になるとその臍の肉を食へる。また瓏種羊(ろうしゅやう)と名ける種類のものもある』とある。
段公路の北戸録には『大秦國に地生羊といふがある。その羔(かう)は土中から生ずるので、國人は牆を築いてそれを圍う。臍は地と連つてゐて、割けば死ぬものだ。しかしただ馬を走らせ鼓を撃つて驚かすと驚き鳴いて臍が絶ち斷れ、水草を逐ふて行くものだ』とある。
呉策の淵頴集には『西域では地に羊が生える。脛骨を土中に種ゑ、雷聲を聞くとその骨の中から羊子が生れ、馬を走らせて驚かすと臍が脱ける。その皮は褥(しとね)になる。あるひは漠北地方では羊角を種ゑると生えて、大いさ兎ほどの肥美なものになるともいふ』とある。

「本草網目啓蒙」「和漢三才図会」のお話で触れている、本家中国の「本草綱目」のご紹介がまだでしたので、あらためて。
地生羊、または植物羊、バロメッツといった「地に生える羊」モチーフに関しては、まとめてこちらでぜひ。

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羊の字の字源

ひつじ話

犠牲を宗廟に進める意味から羞の字が生まれる。
(略)
丑すなわち物を手にとって進める象形文字と、羊の字との形声会意文字が羞の字であって、字音は「シュウ」、字義は羊を宗廟に進め、供え祭るのを本義とし、転じて供物や料理の意となり、さらに転じて、供物を進め足りないのを恥じる意からはじる意味となった。

先日「ひつじの語の語源」をご紹介した『十二支攷』から、ひきつづいて、「羊の字の字源のはなし」を。
羊の字が関係する漢字については、これまでに「三国志演義」羊神判のお話をしたことがありますが、こちらでは、「羞」についてを。

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ひつじの語の語源

ひつじ話

雑誌『郷土研究』第四巻第二号(大正五年五月) (略) には「稲の反生をヒツジと呼ぶが如く、羊の毛は剪(き)りて反生するより斯く名付けしと云うが穏当と信ず」とある。
(略)
すなわち「ひつぢ」とは稲を刈り取った後に再生または反生する稲の俗称であって、羊の毛を剪って反生するのが、ちょうど「ひつぢ」が刈稲から生ずるのと同じであるところから、羊を「ひつぢ」といったというのである。
さらに「ひつち」または「ひつぢ」の語源については『名語記』は「へづちの転であつて、へづちははえ、づる、とみの反なり」と言い、『言元梯』は「ヒステ(不秀手)の義」といっているが、『日本釈名』『東雅』『名言通』『大言海』はいずれも「ヒツチ(乾土・干土)の義」としている。
この説の弱点は上古はヂとジを現在のように混同することがなかったのに、この転化がなぜ行われたのかの疑問が残るところにあるが、ヂがジに転ずる例は必ずしも稀有のことではない。

ご紹介はしたものの、まず動物の羊とは関係ないだろうと思っていた「ひつじ田」ですが、前尾繁三郎『十二支攷』の、「ひつじの語の語源のはなし」と題された章を読んでいたら、いきなりつながってしまいました。
ひつじ田の稲とかけて羊の毛ととく。そのこころは刈ってもまた生えてくる。よって、動物の「羊」を「ひつじ」と呼ぶ、ということのようです。なんと。

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メムリンク 「聖カタリナの神秘の結婚」

ひつじ話

「聖カタリナの神秘の結婚」 「聖カタリナの神秘の結婚」(部分)
メムリンクは、聖女や聖人たちに囲まれる聖母というテーマをたいへん気に入っていたようです。
彼はファン・デル・ウェイデンの作風から強い影響を受けましたが、それをさらに甘美で繊細な絵画にしました。

先日、「ボードワン・ド・ランノワの肖像」をご紹介したヤン・ファン・エイク、「フィリップ善良公の肖像」のロヒール・ファン・デル・ウェイデン、「寄進者ヴェルルと洗礼者ヨハネ」のロベール・カンパンらの次の世代にあたる、15世紀フランドルのハンス・メムリンクによる、「聖カタリナの神秘の結婚」です。聖カタリナのうしろに、羊を連れた洗礼者ヨハネ。
「聖カタリナの神秘の結婚」をテーマにしたものとしては、マテオ・セレーソアンドレア・デル・サルトをご紹介しています。

記事を読む   メムリンク 「聖 ...

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