アルカディアの羊飼いたちの理想郷は、ルネサンスに再発見され、フランスのロココ絵画では―とくにヴァトー、ランクレ、パテルの作品で―“舞台化された”田園詩、つまり茫漠とした理想郷の夢として生きている。「アルテ・ピナコテーク」18世紀フランス、アントワーヌ・ヴァトーの影響を受けたロココの画家であるニコラ・ランクレを。
ヴァトーは「滝のある風景」を、田園詩、牧歌関連はテオクリトス「牧歌」などをご紹介しています。
ニコラ・ランクレ 「鳥篭」
桑の葉でおいしい羊を育てる、日中協力で地域経済活性化
「(中国寧夏回族自治区の)紅寺堡では、不要となった桑の葉を羊の飼料として有効活用?栄養価が高く品質もよい」……これは、今年9月14日の寧夏日報に財経・科教面のトップ記事の大見出しだ。
記事では次のように報道されている。「この地域はもともと養蚕がさかんな地域であったが、昨年来の不況で養蚕をやめた農家が多かった。しかし農民は桑の葉を羊の飼料として活用することで、別の農作物に切り替える苦労を避けることができた。そこには日本人専門家の技術指導があった。将来は『桑羊』ブランドを確立させたい……」
これは、社団法人国際善隣協会(以下、「善隣協会」)が草の根技術協力として、2008?2009年度の2年間の予定で実施しているプロジェクトのことである。
桑の葉を家畜の飼料にすること自体は、古くから日本で行われていた。たんぱく質が豊富で、羊も喜んで食べる桑を、とうもろこしなどの穀類の代わりに与えることで、羊に与える穀類の量を減らす研究実績も蓄積されている。
もりもとさんから、サーチナの羊関連記事についてお知らせをいただきました。いつもありがとうございます。合理的で良いですよね、桑羊。
火の神アグニ
太陽、稲妻、供儀の火
ヴェーダ時代の火の神アグニは、通常の神々とは異なる存在で、ほかのすべての神々にとっては媒介者、人間たちにとっては祭儀の組織者であり、供儀の火でもある。
(略)
アグニはそれぞれに髭をたくわえた人間の顔を3つそなえた姿で表される。
一方の手に数珠を、もう一方の手に壺をもち、しばしばヴァーハナの牡羊に乗っている。
〔ヴァーハナとは神々の「乗り物」の意。ブラフマーは鵞鳥、ヴィシュヌはガルダ鳥、シヴァは牡牛、インドラは象をヴァーハナとする〕。
ロエロンド・サベリー 「廃墟に群れる家畜」
1604年サベリーはプラハに住み、皇帝ルドルフ2世に雇われる。
彼は素晴らしいチロルの遺跡を発見する。
皇帝の所有する動物園では、好んで外国の動物を描く勉強をした。「黄金の17世紀フランドル絵画展」カタログ
ルドルフ2世の宮廷画家ロエロンド・サベリーによる、「廃墟に群れる家畜」です。
レンブラント(工房) 「イサクの犠牲」
レンブラント・ファン・レインの「イサクの犠牲」です。アルテ・ピナコテーク蔵。
同じ主題の絵がエルミタージュ美術館にもあり、しかもご紹介したほうは弟子による工房作らしいのですが、羊が描かれていないところが(ひつじnews的には)決定的に違うので、あえてこちらを。
「イサクの犠牲」テーマについては、関連作品はこちらで。旧約聖書、創世記における該当部分は、こちらでご紹介しています。
東山動植物園のドールシープ
行楽シーズンになりました。暑くもなく寒くもなく、日差しは柔らかく雨も降らず、こんな日は動物園に行くしかありません。
というわけで、名古屋市の東山動植物園に行ってまいりました。
今回の目的は、これです。
野生ヒツジの一種。
アラスカの高地に小さな群れをつくって生活していて、急な崖や岩山を駆けることが得意。
オスの角はメスよりも太くて立派で1mを越すものもある。
繁殖期のオス同士は角を突き合う「ホーニング」をする。ドールシープ舎前解説板より
北アメリカの山岳地帯に棲む野生ヒツジです。ビッグホーンのお話なら時々しているのですが、ドールシープは比べるとかなり小型のようですね。
日本では、現在、この東山動植物園にすむ1998年生まれのラン丸くんだけが唯一の個体とのことで、
一頭のためにはずいぶん立派に見えるドールシープ舎の前でしばらくじっとしていたのですが、なんの気配もせず、なぜか人通りも少なく、心細くなってきたころ、
そっと出てきてくれました。やっぱりもう良いトシだし、表に出るのもおっくうなんでしょうか。
せっかくなので、もう一枚。
さらにせっかくなので、こども動物園(ふれあい広場)にいる普通のヒツジにも会っていきましょう。
東山動植物園では、このほか、植物園の温室でタカワラビを見ることができます。ご縁がありましたら、ぜひ。
『子不語』より「糊をなめる子羊〔羊骨怪〕」
杭州人、李元珪(げんけい)は沛県(江蘇省)の韓公の事務所に間借りし、文書のことを扱っていた。
たまたま郷里の親戚のものが杭州に帰ることになり、李は家への便りをこれに託することにした。
家童に命じて糊をつくらせ封をした。
家童は碗の中で糊をこねあげたが、李はそれを使いおわると、残りを机の上においた。
夜、ぴちゃぴちゃと音がする。鼠が来て盗み食いをしているものと思った。
帳を掲げて様子を窺うと、灯のもとに一匹の子羊がいて、その丈二寸ばかりである。
全身白毛で、糊を食い尽くすと去って行った。李は眼がどうかしたのかと訝った。
次の日とくに糊を作って待っていた。夜になると、子羊がまたやって来た。
そこでよくよく注意してどこに去って行くのかを見ていると、窓外の木の下まで行って消えた。
次の日、主人に話して樹下を掘ってみたら、羊の骨が一本出て来た。
骨の穴の中に糊がまだ残っていた。
とり出して焼いたところ、その後は、妖怪は出なくなった。
清朝の詩人袁枚による『子不語』から、「糊をなめる子羊」です。
中国の怪異譚は、これまでに、「唐代伝奇集」や「捜神記」などから、それぞれ数話ご紹介しています。
「アルベルト大公の肖像」
画家は、赤一色のバックに右手を剣の柄においた、大公の半身肖像画を描いた。
このような肖像画の型は17世紀の初期の伝統的な肖像画に従ったものである。「黄金の17世紀フランドル絵画展」カタログ
フェリペ4世、カルロス2世に続いて、金羊毛騎士団勲章をつけた人物をもうひとりご紹介。作者不詳ながら、17世紀スペイン領ネーデルランド総督アルベルト大公の肖像画です。
セバスティアン・エレーラ・バルヌエボ 「幼年時代のカルロス2世の肖像」
カルロス2世(1661―1700)は1665年にスペイン国王に即位した。
フェリーペ4世とマリアナ・アウストリアの息子で、彼が成人するまでは母マリアナが摂政を務めた。
幼い国王は金羊毛徽章をつけ、ハプスブルク家の紋章に描かれている獅子と鷲に囲まれている。「エルミタージュ美術館展 16―19世紀スペイン絵画」カタログ
「フェリペ4世の肖像」に続いて、宮廷画家セバスティアン・エレーラ・バルヌエボによって描かれた、その息子にしてスペイン・ハプスブルク最後の国王カルロス2世の肖像を。
ル・プランス 「ロシアの生活情景」
ル・プランス, ジャン=バティスト
ブーシェ門下だが、オランダ滞在中にレンブラントの作品に接して、その感化を受けた。
1758年ペテルブルグに赴き、レンブラント様式を伝えている。
数年間のロシア滞在ののち、フランスに戻り、ロシアの民衆を題材とする一連の版画を制作し、ロシア趣味をパリに普及させた。
彼の作品を下絵とするタピスリーの連作「ロシアの遊び」が、ボーヴェーの王立織物工場で織られた。「エルミタージュ美術館展 フランス バロック・ロココ絵画」カタログ
タピスリーの連作『ロシアの遊び』より「手相占い」をご紹介している、ジャン=バティスト・ル・プランスの「ロシアの生活情景」です。優雅でエキゾチックな、幻想のロシアですね。
師匠のブーシェについては、 「フルートのレッスン」と「雅な羊飼い」をご紹介しています。
ベラスケス工房 「フェリペ4世の肖像」
1630年代末に、親戚にあたるウィーンのハプスブルク家に贈るための、フェリーペ4世とブルボンのイサベルの対の肖像画が制作された。
現在はウィーンの美術史美術館に所蔵されている2枚はともに膝から上の肖像画であるが、これはベラスケスが描いたのちに、下部が切り落とされたものと考えられている。
エルミタージュ所蔵の本作品は、ベラスケス本人が描いた国王の肖像画を、工房で繰り返したものと思われるので、ウィーンにある上記作品の完成当初の姿を伺うことができる。「エルミタージュ美術館展 16―19世紀スペイン絵画」カタログ
「シルバー・フィリップ」をご紹介している、スペイン国王フェリペ4世の肖像画をもう一枚。胸元に金羊毛騎士団勲章。
金羊毛騎士団については、こちらをご参考にどうぞ。
ヴァトー 「滝のある風景」
「エルミタージュ美術館展 フランス バロック・ロココ絵画」カタログ
ロココ絵画の巨匠、アントワーヌ・ヴァトーの風景画です。
ロココの画家は、他に、フランソワ・ブーシェの「フルートのレッスン」と「雅な羊飼い」、、フラゴナールの「家畜の群れの帰り」、ジャン=バティスト・ル・プランス下絵によるタピスリーをご紹介しています。
ヤン・ブリューゲル、バン・バレン 「花と果実の輪にかこまれた聖家族」
「黄金の17世紀フランドル絵画展」カタログ
ヤン・ブリューゲル(父)と、共同制作者ヘンドリック・ヴァン・バレンによる、「花と果実の輪にかこまれた聖家族」です。
羊を連れたヨハネの姿は数多くご紹介しておりますので、こちらでぜひ。
司馬江漢 「天球図」
和蘭天球ノ図ハ、彼国ノ法ニシテ、禽獣人物異形ヲ以テ星ノ名トス