中世ヨーロッパの都市の生活
第二章 ある裕福な市民の家にて
部屋に窓はあるが小さく、油を塗った羊皮紙で閉じられているため、昼間でも暖炉の火が室内の照明代わりだった。
オイルランプが壁から鎖で吊されているが、その火は外が完全に暗くなってから灯されるのが常だった。
原注
金持ちの家でも窓ガラスが使われることは稀だった。
離れた場所にいくつも家を持っていたイングランドの身分の高い貴族の場合、ガラス板がはめ込まれた窓を窓枠ごと持って、一つの家から別の家へと移動していた。
第七章 豪商たち
トロワの商人たちはさまざまなことに投資したが、なかでも中心となったのは羊毛である。
地元で採れる羊毛もあったが、最高級のものは外国、とくにイングランドから入ってきた。
(略)
商人はイギリスの大修道院との間に、刈り取られた羊毛をすべて買い取る長期契約を結ぶことがあった。
たいていは七年という期間設定である。
(略)
羊毛がイングランドからトロワへ運ばれてくると、まず毛織物商の家で予備的な加工がほどこされる。
最初に徒弟が傷物の羊毛を取り除き、残りを上・中・下の三つのグレードに選別する。
次に灰汁のなかで脂を洗いおとし、板の上に広げて日光に当て、乾かす。
そして徒弟が四つんばいになり、ピンセットを手に、土の粒子や小さなごみなどを一つ一つ取り除いていく。
つまみ出せないものがあるときは、小さなはさみで刈り取った。
死んだ羊からとった羊毛は別に処理された。
生きた羊から刈った羊毛と一緒に処理すると罪になったのである。
中世ヨーロッパの窓ガラスのお話をしてから似た事例を探していたのですが、13世紀のトロワを舞台にしたこちらの「中世ヨーロッパの都市の生活」によると、羊皮紙が使われているようです。窓関係で羊大活躍。
十五世紀パリの生活
アルマニャック勢は商人たちをガラルドンまで追尾し、その町を包囲したのである。
それが原因で、復活祭には肉の値段が高騰し、パリの住民大方は、この日、手に入ったのは豚の脂肉だけ。それだけしか食べられなかった。
なにしろ上等の羊の四半分がじつにパリ貨三十二スーしたのだ。
ちっぽけな羊の尻尾がパリ貨十スー、仔牛の頭、モツがそれぞれ十二スー、牝牛はパリ貨六スー、豚も高い。
15世紀前半のパリに暮らした人物による覚書を解説するこちらの本では、戦中のために高騰する物価についての記述が非常に多く見られます。つまりなにが生活必需品だったか見当がつくということですが、引用文を読む限りでは、羊の尻尾も重要視されてそうです。
ジェシーズフェイバリッツ
さらさらウォータータイプ&スプレータイプなので手を汚さずに使え、
クリームタイプのように肌に塗りこむ手間も省けます。
羊キャラクター「ジェシー」が愛らしいジェシーズフェイバリッツの、羊毛からとれるラノリンを使ったリップクリームやジェシーが浮き出るあぶらとり紙をしばらく愛用していたんですが、カーター卿さんからのタレコミで(ありがとうございますー!)、いつのまにかアイテム展開がたいへんなことになっているのを知ってしまいました。
そろえるしかないか。ないのか。時期的には、まずこの日焼け止めあたりからか。
そしてこのように一人と一匹でおでかけを。
スキタイのリュトン
グレコ=スキタイ美術 前5世紀中期 金 長さ23.5?
スキタイ美術 前4世紀 銀 高さ12.3?
エルミタージュ博物館蔵の、スキタイのリュトン(酒杯)です。
近い時代のリュトンとしては、アッティカのものをご紹介しています。
「プリニウスの博物誌」(続き)
第二巻 血の雨その他
(略)
ルキウス・パウルスとガイウス・マルケルスが執政職にあったとき〈前49年〉、コンプサ城の辺りに羊毛が降ったが、その一年後にその近くでティトゥス・アンニウス・ミロが殺された。
第八巻 円形競技場でのゾウの闘争
(略)
この動物は自分自身ほど強くないものに対して生来非常に温和であって、それがヒツジの群の中に入るようなことがあると、ついうっかり踏み潰すことのないように、その進路に入って来るヒツジを鼻でわきへのける。
第十一巻 野生のミツバチ、ミツバチの敵
(略)
ヒツジもミツバチの敵だ。ハチはヒツジの毛にからまれて難儀する。またカニが近くで煮られる匂いは彼らにとって致命的だ。
昨日ご紹介した「プリニウスの博物誌 ?」から、ヒツジ関係の章以外にもこっそり出てくるヒツジ話を追加です。
羊毛が降るのが前兆になるんですね。羊そのものが降る話も以前ご紹介したことはありますが、関係は……無いと思います。たぶん。
「プリニウスの博物誌」より「ヒツジの性質とその出産」他
単独でいるとき雷が鳴るとヒツジは流産する。それを防ぐには群居させ、仲間によって元気づけられるようにするのがよい。
北風が吹いているときは雄が、南風が吹いているときは雌が生れると言われている。
そしてこの種においては、雄ヒツジの口に最大の注意が払われる。
子の毛色は親雄ヒツジの舌の下にある血管の色になり、そこにいろいろな色があると、子ヒツジもいろいろな色になるからだ。
そしてまた彼らが飲む水を変えると毛色も変わる。
(略)
毛の伸びたヒツジはすべての動物のうちでもっとも愚鈍である。
どこかへ行くのをおそれている時、群の中で角を掴まれた一頭の行くところへついていく。
プリニウスの博物誌、第八巻のヒツジに関する記述から。
ヒツジが愚かであることについては、 「パンタグリュエル物語」やアリストテレースの「動物誌」、ゴールドスミスの「動物誌」など、古今で話題になってしまっているようです。アリストテレースが元凶なんでしょうか、やっぱり。
出産と環境の関係の話はアリストテレースもしていますね。類例がありそうなので、もう少し調べてみます。
プリニウス「博物誌」については、他に「羊毛を生む球根植物」に関する部分と、ジョン アシュトン「奇怪動物百科」やオラウス・マグヌス「北方民族文化誌」のお話の中で触れています。
なかみまるみえフィギュアストラップ ?食べられる動物編? ひつじ
「なかみまるみえフィギュアストラップ”食べられる動物編”」
いわゆる200円ガチャガチャというやつです。東海市のアピタで撮りました。
えび様より少し前にいただきました情報(ありがとうございます!)を元に、行ってまいりましたアピタ東海荒尾店。
いや、別に試しに近所のアピタでも良かったんですが確実ですし。
どこにあるのか分からないので、まずは子供向けのスペースがある2階へ……
ないですよ。 ヽ(´ー`)ノ
ふかふかしてそうだけどこれは豚だし。
ゲームコーナーにあるこれはいつか紹介したことのある羊飼いのペターだし。
見つからず少ししょんぼりしながら1階へ。
お? あったー。
早速挑戦してみるひつじnews。
で、結果はどうなったかというと……
左から、肉牛、乳牛、豚。
……まあヒツジが出なかったわけなんですけども。
仕方がないのでエムファーストというフィギュアショップさんから画像を(勝手に)借りてきました。
こんな感じらしいです。
まるみえというか……まあ肉なんですけど。
吉祥寺パルコ、雑誌「Hanako」とコラボ企画?動物の限定スイーツも
吉祥寺パルコは現在、雑誌「Hanako」(マガジンハウス)とのコラボレーション企画「Hanako動物園」を展開している。今年で4回目。
7階特設会場では、「Hanako」がセレクトした動物グッズやキャラクターグッズなどが並ぶ。
4階のカフェ「サンデーブランチ」では、5月まで月替わりでコラボレーションスイーツを展開。3月は、若葉色のショートケーキに、ピンク色のゾウのクッキーなどをトッピングした「ぞうのHanako」(1カット=700円、ドリンクセット=1,200円)を提供。4月はヒツジのクッキーをトッピングしたマンゴーのショートケーキ「まっしろひつじ」が、5月はシカのクッキーをトッピングしたメロンのショートケーキ「バンビのおしゃべり」が、それぞれ登場する。
営業時間10時?21時。今月15日まで。期間中、7階会場で3,000円以上の購入客先着100人に、A4サイズの「Hanako×PARCO オリジナルトートバッグ」を進呈している(無くなり次第終了)。
2月26日発売の「Hanako」はひつじ度が高いとのカーター卿さんのタレコミを受けて、雑誌を買って参りました。いつもありがとうございます。
ひつじnewsは例によって遠くて行けませんが、吉祥寺パルコですごく気になるイベントが開催中のようです。期間限定ひつじケーキ、食べたい……。
「アルゴー号の大航海―ギリシア神話より」
彼らは口をそろえて言った。
「聖なる森には、決してねむることのない、不死の大蛇がいる。
金毛羊皮をうばい取るのは不可能だ」
だが、アルゴー号の勇士たちはくじけない。
アルゴナウタイの航海を描いたビジュアル・ブック。
物語については、『転身物語』の「イアソンとメデア」をご参考にどうぞ。
それにしても金毛の羊がたいへんな姿に。金羊毛騎士団の金羊毛勲章みたいなイメージしかなかったので、新鮮です。
アルゴー号関連では、他にギュスターヴ・モローの「イアソンとメディア」、同じく「アルゴー号乗組員の帰還」、ロバート・J・ソウヤーのSF「ゴールデン・フリース」などをご紹介しています。
「黒祠の島」
「御主神は」
「カンチです」
は、と式部は問い返した。杜栄は困ったように笑う。
「神、霊、と書いてカンチと読むんですよ。」
(略)
馬首の額には一本の角が生えていた。
それが変わっていると言えば変わっているが、馬頭観音としては格別珍しい造作ではない。
お定まりの蓮華座の上に結跏趺坐し、頭部には丸く光背があった。
式部はそれらをしみじみと見て取り、困惑して杜栄を振り返った。
「これは……失礼ですが、馬頭観音なのでは?」
ならばこれは、神像ではなく仏像と呼ぶべきだろう。
だが、杜栄は笑って首を振った。
「そう見えますでしょう。ですが、これは馬頭夜叉だと言われています」
(略)
「青い馬……青い一角の……」
―馬ではないのか?
神は「カミ」、あるいは「カム」と読む。霊は「チ」と読む。
だから「カムチ」が訛って「カンチ」と呼ぶのだろう。
馬頭夜叉は青い。角がある。木気に属し、未に属す。その名は「カンチ」。
「解豸か……?」
中国の伝説に言う、青い一角の羊。罪あるほうをその角で突いて示したという。
小野不由美のミステリです。物語の鍵である、閉ざされた島に伝わる土着信仰として、解豸(カイチ)が使われています。神判の獣、というイメージをつきつめると、こんなに怖い話になるのかとー。
カイチについては、白川静の文字学のお話などをしています。
オキーフ 「雄羊の頭とタチアオイ」
骨たちを引力の制限から解放し、それらを非論理的に風景の上に置くことで、オキーフは彼女の批評家や観客をさらに混乱させた。
20世紀アメリカ、ジョージア・オキーフの「雄羊の頭とタチアオイ」です。
「羊たちの沈黙」
最後に、素晴らしいバタール・モンラッシェをグラスに注いで、クラリス・スターリングあての手紙を書いた―
どうだね、クラリス、子羊の悲鳴は止んだかね?
(略)
答えがイエス・アンド・ノーであっても、私はべつに驚かない。
子羊たちの悲鳴は今のところは止むだろう。
トマス・ハリス、「羊たちの沈黙」のラストシーンから。
脱獄を果たした後のレクター博士が、クラリスのトラウマであり原動力でもある、屠畜される子羊の記憶について訊ねる場面です。
「雨天炎天」
一度これも東部アナトリアのど田舎で、ものすごい数の羊の群れに道路を塞がれたことがある。
僕らの前にはメルセデスのキャンピング・カーに乗ったドイツ人がいて、彼らもやはり立ち往生している。
とにかく海みたいな羊の群れである。
こんな凄い数の羊を見たのは、あとにも先にもこの時だけであった。
見渡す限り羊・羊・羊である。
ロバに乗った羊飼いが何人かと、大きな牧羊犬がその群れを導いている。
僕らもドイツ人も羊の写真を撮っていた。
すると羊飼いがやってきて、写真撮るんなら金を出せと言う。
ドイツ人はしょうがないな、という感じで金をいくらか払った。
僕らは五本か六本残ったマルボロを箱ごとやった。
村上春樹のギリシャ・トルコ辺境紀行、「雨天炎天」のトルコ編から。
「チャイと兵隊と羊?21日間トルコ一周」の副題がついたハードな旅ですが、というかひどい目にしかあってませんが、不思議と楽しそうに見えるのが、村上春樹っぽいというかなんというか。
「ペニーさんと動物家族」
農業祭がはじまるのは、水曜日でした。
火曜日、ペニーさんは、まだくらいうちからおきて、準備にかかりました。
(略)
そのあと、ペニーさんは、動物たちを洗いにかかりました。
まず子ヒツジのミムキンを洗いました。
ひづめをみがきたて、背中の毛がすべすべと平らになるように毛にハサミを入れました。
でも、おでこのカールはそのままにしておきました。
マリー・ホール エッツの絵本です。松岡享子訳。
ペニーさんには大勢の家族がいます。ウマのリンピー、メウシのムールー、ヤギのスプロップ、ブタのパグワッグ、子ヒツジのミムキンに、ニワトリのチャクラックとドゥーディ。この全員で農業祭に出かけることになるのですが、もちろん無事にすむわけもなく……?