古代エジプトのカルトナージュ棺

ひつじ話

カルトナージュ棺の部分
牡羊が描かれたカルトナージュ棺(部分)
化粧漆喰布   描画、多彩色  高23 幅16
第3中間期、前1069―664年頃

 「ルーブル美術館所蔵古代エジプト展」カタログ 

古代エジプトにおける「カルトナージュ棺」とは、布に化粧漆喰を塗ったギプス状の人型をミイラにかぶせたもののこと。こまやかで美しい装飾がほどこされていますが、こちらはその断片らしいです。
古代エジプトの牡羊イメージについては、ネフェルタリ王妃墓の壁画クヌム神「複合神」という方法の話や、ヘロドトスの「歴史」などをご紹介しています。

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マットレスメーカー「サータ社」のカウンティングシープ

ひつじ画像・映像

サータのカウンティングシープ
寝る前に「羊が一匹、羊が2匹・・・」と数え、何匹目で寝れるか?
などと昔から言われており、羊にとっては毎晩あちこちで非常に忙しい日々を送っていました。
しかし、サータマットレスの寝心地が認められ、次第にサータマットレスを購入する人が増えてくるにつれて羊の仕事(出番)が減り、サータマットレスに対してねたみを持ち始めて来ました。
が、羊の中には、サータマットレスの寝心地が気に入るやつも出てきたり・・・と、それだけサータマットレスの寝心地が素晴らしいという事です。

こえち様から、「羊わさわさのCMを作っているようで、サイトでムービーを見ることができます。」とのコメントとともに、アメリカのマットレスメーカー「サータ社」のオリジナル・マスコットキャラクター「カウンティングシープ」の情報をいただきました。ありがとうございます!
上の画像は、五つのCMのうち、「裏切り者」編から。ひつじのショーンの仲間たちに、こういう子いそうです。

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マイケル・ムアコック 「雄羊と樫」

ひつじ話

 やおらアマージンの足もとから〈銀の雄羊〉を取り上げた女神は、言った。
「この〈雄羊〉にこの男の魂を授けなければならぬ……と予言は告げておる。いま、そのアマージンとやらの魂は肉体を離れ、〈雄羊〉に移りはじめておるのじゃ。アマージンとやらは死なねばならぬ」
「いやです!」二十人ほどの人間がいっせいに叫んだ。
「しかし、待つがよい」と、〈樫の女神〉は微笑を浮かべて、たしなめるように言い、〈雄羊〉をアマージンの頭にのせるや、朗々と唱えた―
  母なる海へ走りゆく魂よ、
  のぼる月を見て鳴く仔羊よ、
  魂は足をとめ、仔羊は鳴くのをやめよ。
  そなたらの故郷はまさにここなり!
 とたんに新しい羊の鳴き声が聞こえはじめた。

マイケル・ムアコックのファンタジー小説「コルム」シリーズより、「雄羊と樫」を。
捕らわれて術をかけられ、自らを羊と思いこまされていた王は、英雄コルムによって救い出されます。上は、さらなる紆余曲折を経てついに羊の呪いが解かれる場面。偉大な王であるアマージンは、この時点では羊の皮をかぶってたり、草を食わされたり、メェーとか鳴いたりしています。

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「ワーンクリフの時祷書」

ひつじ話

「ワーンクリフの時祷書」 「ワーンクリフの時祷書」(部分)
美しい田園の魅惑
画面中心では、牧野の羊飼いたちに天使が現れて、めでたくも救い主キリストがお生まれになったことを告げている。
(略)
縁飾の中では、キリストに喩えられる子羊に慈愛を示している娘たち、悪い狼にさらわれた子羊を救おうとしている羊飼いも見られる。

15世紀後半に作られた時祷書、「ワーンクリフの時祷書」から。画面下の娘たちの絵が可愛らしいので、アップにしてみました。羊、逃げてる?
時祷書は、これまでに、「エティエンヌ・シュヴァリエの時祷書」や、「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」(2月)、同じく「ベリー公」の占星学的人体図などをご紹介しています。

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シャルル=エミール・ジャック 「月夜の羊飼い」

ひつじ話

ジャック「月夜の羊飼い」

何度かお話しているバルビゾン派のシャルル=エミール・ジャック、「月夜の羊飼い」です。山寺 後藤美術館蔵。
ジャックは、「羊のいる風景」「羊飼いと羊の群」、「羊飼い」、「夕暮れの羊飼いと羊」などをご紹介しています。

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ジュゼッペ・マリア・クレスピ 「ポッジオ・ア・ カイアーノのバザー」

ひつじ話

「ポッジオ・ア・ カイアーノのバザー」 「ポッジオ・ア・ カイアーノのバザー」(部分)

18世紀イタリア、ボローニャ派のジュゼッペ・マリア・クレスピによる「ポッジオ・ア・ カイアーノのバザー」です。ウフィツィ美術館蔵。

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パルマ・イル・ヴェッキオ 「聖家族と聖ヨハネ、聖女マグダラのマリア」

ひつじ話

「聖家族と聖ヨハネ、聖女マグダラのマリア」 「聖家族と聖ヨハネ、聖女マグダラのマリア」(部分)

16世紀、ヴェネツィア派のパルマ・イル・ヴェッキオによる、「聖家族と聖ヨハネ、聖女マグダラのマリア」です。ウフィツィ美術館蔵。
聖母子などとともに洗礼者聖ヨハネと羊が描かれるものとしては、これまでにスルバランの「幼児洗者聖ヨハネのいる聖母子像」ルーベンスの「聖母子と諸聖人」をご紹介しています。

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中国四千年料理ショー(元) 『羊ノ肺ハ見ル、草原ノ夢』

ひつじ食


連心羊肺一具
(心臓のついた羊の肺1個)
「まずは、羊の肺を用意してください」
(中略)
「……元の料理書には、どう血抜きをしろって書いてあるの?」
「気管に口を付けて、血をよーく吸い出せ、やて」

昨日ご紹介した『中国の食譜』には、「山家清供」とともに「居家必用事類全集(きょかひつようじるいぜんしゅう) 飲食類」という元代の料理書も収録されています。こちらについてもお話しようとあれこれ調べていましたら、材料の準備段階で視聴者の九割九分をおきざりにする料理番組「中国四千年料理ショー」にぶつかってしまいました。NHKおそるべし。
せっかくなので、番組のネタ元である「居家必用事類全集 飲食類」の「河西肺」の記事も下に。

河西肺(河西の肺詰)
心臓ごと羊の肺一具を〔水に〕浸してきれいに〔血抜き〕する。
豆粉四両を肉だしの汁でとき、こむぎこ四両を韮汁でとき、これを密三両、酥半斤、松仁(まつのみ)およびあま皮を去った胡桃仁(くるみのみ)十両を細かに擂って滓を濾し去ったものと合わせて攪拌し、その肺いっぱいに詰めて鍋で煮る。
煮えたら大盤(おおざら)に盛ってそのまま宴席に運び、面前で切ってさらに取り分け、肺に詰めきれなかった残りの汁に麻泥(胡麻を搗いて泥状にしたもの)を加えて煮た汁をかける。
これは賜宴のときに作られる。

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『山家清供』より「山煮羊」

ひつじ話

山煮羊(さんしゃよう、羊の山家煮)
羊をきりみにして砂鍋(どなべ)に入れ、葱、椒(さんしょう)を加えるが、そのほかに一秘法がある。
それは杏仁数個を槌でつぶして入れ、活水で煮るだけだが、骨でさえとろとろになる。
しかし折角のこの方法も、世に容れられないのが、つねづね残念である。
この方法は、漢時の一関内侯など、足もとにも及ばないのに。

南宋の美食のお話を少し前にしたことがあるのですが、その時代の料理書「山家清供」に羊料理のレシピがありました。山家住まいに憧れる文人が書いた「理想的な食生活」の本なので、当時の一般的な料理ではないらしいのですが、どれも美味しそうです。筍と蕨のワンタンとか、梅の花のお粥とか、柚の蟹肉詰とか、……なんか本気でお腹空いてくるんですが。
ところで、本文にある「漢時の一関内侯」について、これはこれで興味深い註釈がついてますので、下に改めて。


後漢
の光武帝の族兄劉玄は、新の王莽を倒して帝位に即いたが、酒色に耽り、高官に取り立てた者はみな料理番や料理人などだったので、都の人々は「竈下の養(まかないかた)は中郎将、羊胃を爛(に)るは騎都尉、羊頭を爛るは関内侯」といった。一関内侯とは、この羊頭を爛(やわらか)に煮ることによって関内侯に取り立てられた人をいう。

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エル・グレコ 「羊飼いの礼拝」

ひつじ話

エル・グレコ 「羊飼いの礼拝」 「羊飼いの礼拝」(部分)

エル・グレコが幾度か手がけたテーマである「羊飼いの礼拝」のうち、縛られた子羊が目立っている、バレンシアのコルプス・クリスティ学院のものを。
エル・グレコは、「聖アグネスと聖マルティナのいる聖母子」をご紹介しています。

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読書亡羊

ひつじ話

臧(ぞう)と穀と、二人相與(あいとも)に羊を牧して、倶(とも)に其の羊を亡へり。
臧になにを事とせしかを問へば、則ち策を挟みて書を讀み、
穀になにを事とせしかを問へば、則ち博塞して以て遊べり。
二人は、事業は同じからざるも、其の羊を亡ふに於ては、均しきなり
伯夷は名に首陽の下に死し、盗跖は利に東陵の上に死す。
二人は、死する所同じからざるも、其の生を殘(そこな)ひ性を傷つくるに於ては、均しきなり。
なんぞ必ず伯夷を之れ是として、盗跖を之れ非とせんや。
●通釈
番人の臧と穀との二人が、それぞれ羊の群れの見張りをしていたが、どっちも羊に逃げられてしまった。
臧に何をしていて逃げられたのかと問いただすと、巻物をこわきにはさんで一心に書物を読んでいたということであり、
穀に問いただすと、夢中になってかけ事をして遊んでいたということであった。
二人はやっていたことは違うけれども、役目を怠って羊を逃がしたことは同じである
これと同じことで、伯夷は道義の名誉を守って、首陽山のふもとに隠れて餓死し、
盗跖は財物の利をむさぼって、東陵山上に追いつめられて死んだ。
この二人は、死にかたは違っているが、その生命を滅ぼし天性を損なったことは、どちらも同じである。
だから、なんで世上にいうように伯夷は正しくて、盗跖は悪いなどときめつけられようか。

 「全釈漢文大系16 荘子 上」 

他に気をとられて肝心なものを失ってしまう、という意味の故事成語「読書亡羊」です。出典は「荘子」。
それが利であれ仁義であれ、人間の天性ではない外部のものを優先する価値観こそが人を苦しめるのだ、という趣旨なのですが、その「天性」に羊がたとえられています。

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羊質虎皮

ひつじ話

或ひと曰く、人有り、自ら云いて孔を姓にし仲尼を字にし、其の門に入り、其の堂に升(のぼ)り、其の几(き)に伏し、其の裳を襲(き)らば、則ち仲尼と謂う可きか。
曰く、其の文は是なり。其の質は非なり。敢えて質を問う。
曰く、羊の質にして虎の皮、草を見て説(よろこ)び、豺(さい)を見て戦(おのの)く。
其の皮の虎なることを忘るればなり。
ある人がいった、「ここに人がいて、自分から、姓は孔で字は仲尼だといい、孔家の門を通り、その座敷に上がり、その脇息によりかかり、その衣裳を着たら、仲尼だといえますか」。
答えた、「外見はそうだが、内実は違う」。「あえて内実をおたずねします」。
答えた、「内実は羊なのに虎の皮をかぶり、草を見ると悦ぶが、山犬を見ると震えおののく。
虎の皮をかぶっているのを忘れるからだ(内実は変えられない)」。

前漢末期、揚雄の「法言」に典拠を持つ、「見かけ倒し」を意味する故事成語「羊質虎皮」を。
故事成語は、これまでに、亡羊補牢肉袒牽羊多岐亡羊以羊易牛などをご紹介しています。

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