ニザーミー・アル=アルーズィー 「四つの講話」

イスマーイールの卒中の治療
マリク・シャーの治世とサンジャルの治世の一部分にかけて、ヘラートにアディーブ・イスマーイールという哲学者がいた。
彼はきわめて優れ、学識がある完全な男であったが、生計を医師としての収入で立てていた。
彼はいくたの珍しい治療を行った。
ある時、彼が屠殺市場を通りかかると、ある屠殺人が、羊の皮を剥ぎ、時どき羊の腹に手を入れ、温かい脂肪を取り出して食べていた。
イスマーイールはこの様子を見て、向かい側にあった八百屋にむかい、
「もしあの肉屋が死んだら、埋葬する前に私に知らせてくれ」と言うと、八百屋は「承知しました」と答えた。
(略)
その時八百屋はイスマーイールが言ったことをふと思い出し、駆けて行って彼に知らせた。
するとイスマーイールは、「死ぬのがおそすぎるぐらいだ」と言って、
杖をとり、その家に行き、死人の顔から布をとり、
(脈を手にとり、「杖で死人の足の裏をたたけ」と命じ、しばらくして「もう十分だ」と言った)。
それから彼は卒中の治療にとりかかった。

12世紀のペルシア散文文学「四つの講話」から、医師に関わる逸話を。
温かい脂肪……たしかに体に悪そうです。

ひつじ話

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