『詩経』より 「君子于役」
君子于役(くんしうえき) [王風]
徭役に長く出ている夫を思う農婦の歌。
君子于役 君子 役(えき)に于(ゆ)く、
不知其期 其の期を知らず、
曷至哉 曷(いつ)か至らんや。
雞棲于塒 鶏 塒(ねぐら)に棲(やど)る、
日之夕矣 日の夕べ、
羊牛下來 羊牛(ようぎゅう) 下り来たる。
君子于役 君子 役に于く、
如之何勿思 之れを如何(いかん)ぞ思ふこと勿(な)からん。
(第一節) あなたは徴用されて出ていった。その期限は知らされず、いつお帰りになれることやら。ニワトリも自分のねぐらに休んだ。日が暮れて、羊や牛も山からもどって来た。あなたは徴用されて出ていった。どうしてあなたの身を案じないでいられましょう。
君子于役 君子 役に于く、
不日不月 日あらず月あらず、
曷其有佸 曷(いつ)か其(そ)れ佸(あ)うこと有らん。
雞棲于桀 鶏 桀(けつ)に棲(やど)る、
日之夕矣 日の夕べ、
羊牛下括 羊牛 下り括(いた)る。
君子于役 君子 役に于く、
苟無飢渇 苟(いやし)くも飢渇すること無かれ。
(第二節) あなたは徴用されて出ていった。月日は数えきれぬほど過ぎさり、いつまた会えることやら。ニワトリは自分の止まり木に休み、日が暮れて、羊や牛も山からもどって来た。あなたは徴用されて出ていった。かりそめにもひもじい思いをなさらないように。
召南より「羔羊」、小雅より「無羊」をご紹介している、中国最古の詩編『詩経』から、もうひとつ。王風より「君子于役」です。
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